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June 24, 2007
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テーマ:Jazz(1961)
カテゴリ:Album
スティーヴィー・ワンダー黄金時代の最重要アルバム

キー・オブ・ライフ / スティーヴィー・ワンダー
Songs In The Key Of Life / Stevie Wonder



●(その2)からの続き

これは、多くの人にとって重要なアルバムと言えます。

2004年に、エルトン・ジョンは、『ローリング・ストーン』誌にこう語っています。

「世界のどこに行くときでも、僕は『キー・オブ・ライフ』を持っていくんだ。
僕にとっては最高のアルバムで、いつも聴いた後で“まいった”という気持ちにさせられるしね。」

このアルバムにおいて、前作まですぐれたサウンドを作っていた、
サウンド・エンジニアのセシルとマーゴレフの不参加による影響はどうだったのでしょうか。
考えられることは、まず、ミックスが、もっとうまくできたということが言えるでしょう。
要するに、サウンドが、もっとクリアになっていたはずだということです。

それから、この二人だったら曲を減らすか、曲の長さを、もっと縮めて、
作品を2枚のレコードに収めたのではないか、ということが考えられます。
このアルバムが、アナログ・レコードで合計6面(4面がLPで、2面がEP)にも及んだのは、
1曲の楽曲の時間が長いものが多い、ということがあります。
21曲のうち5分を越えるものが8曲もあり、中には8分を越えるものもあります。
これが絶対に必要な長さであるかということは、疑問に残るところです。
しかし、これらの曲は、理屈では充分な長さを越えた後も、心地よいグルーヴ感が続いていて、
その陶酔感はジャズの世界と同じものだと言えます。
ジャズの曲も、よく長すぎると言われることがありますが・・・。
それは、一般の人たちが、3分間のポップ・ソングになれてしまっているためでしょう。
もともと、西洋ではハーモニー、和音がベースになって進んでいくため、
普通は同じ繰り返しにより、とどまることはありませんが、
アフリカではリズムがベースになって、同じことを繰り返すことによって高揚感を増していきます。
それは、アフリカ黒人音楽に根ざしたジャズにも見られるものです。
スティーヴーも、ここで、
今までのポップ・ソングの常識にとらわれないグルーヴを大切にしていたのではないかと思います。
レコードではやたら長く感じてしまう曲でも、ライヴでは、その真価が発揮できるものでしょう。

全体的にすぐれた曲を集めた、この2枚半のレコードの、壮大なヴィジョンと、
そのサウンドは、とにかく圧倒的です。
「愛するデューク(Sir Duke)」の歌詞でこう言っています。

「レコードのミゾ(グルーヴ)があるからって、グルーヴがあるわけじゃない」

しかし、このアルバムには、しっかりとグルーヴが刻まれているものになったと言えるでしょう。

『ビルボード』誌の全米アルバム・チャートで、14週連続1位になり、
シングル「回想(I wish)」と「愛するデューク(Sir Duke)」は、ともに1位になりました。
それに続く「アナザー・スター(Another Star)」と「永遠の誓い(As)」のシングル編集ヴァージョンは、
チャートは、あまり振るわず、かろうじて40位以内に入りました。

ポール・サイモンは、1976年(1975年度)にグラミー賞を受賞しましたが、
授賞式でスピーチを求められ、1975年にアルバムを出さなかったスティーヴィー・ワンダーに、
「僕たちみんなに受賞のチャンスをくれたことに感謝する。」とコメントしました。
しかし、1977年(1976年度)の第19回グラミーでは、また、スティーヴィーが賞を総なめにしました。
このアルバム『キー・オブ・ライフ(Songs In The Key Of Life)』が、
最優秀アルバム賞、最優秀ポピュラー・シンガー賞、最優秀プロデューサー賞を、
「回想(I wish)」で最優秀男性R&Bヴォーカル賞の、合計4部門で受賞しました。
こうして、新作を出さなかった1年間を含む4年間で、
スティーヴィーは合計17のグラミーを受賞したことになります。

この時点で、スティーヴィー・ワンダーはソングライター、およびパフォーマーとして頂点に達し、
ポピュラー・ミュージック史に残る最高のソングライター、パフォーマーの座につきました。

聴きかじりのポップス・ファンにとっては、
スティーヴィー・ワンダーというと1980年代の、大ヒットこそしましたが、
当たり障りのない、いくつかのバラードのイメージが、今なお不当に付きまとうかもしれませんが、
コアな音楽ファンにとっては、1970年代のスティーヴィーには、神がかり的な何かがある、
類(たぐい)まれなる、驚異的なソングライターであり、ミュージシャンであり、
パーソナリティーである、いわゆるスーパースター的存在としてオーラを放っていました。

1972年発表の『心の詩(Music Of My Mind)』、
同じく1972年発表の『トーキング・ブック(Talking Book)』、
1973年発表の『インナーヴィジョンズ(Innervisions)』、
1974年発表の『ファースト・フィナーレ(Fulfillingness’ First Finale)』、
そして、この1976年発表の『キー・オブ・ライフ(Songs In The Key Of Life)』という5枚のアルバムこそ、
スティーヴィー・ワンダーの全盛期であり、黄金時代の作品となりました。

『キー・オブ・ライフ(Songs In The Key Of Life)』リリース直後、
スティーヴィーは『ロック・アラウンド・ザ・ワールド』誌にこう語っています。

「僕が書いた曲やカヴァーした曲を聴いてもらえれば、僕の心がわかるよ。
ときどき、ファンや僕の音楽を聴いてくれる人たちが、親しい知人よりも身近に感じることがあるんだ。」

*****

「スティーヴィー・ワンダーは世界が生んだ最も偉大な奇跡(ワンダー)のひとつだね。」
~ポール・マッカトニー~

「スティーヴィー・ワンダーの偉大な曲を聴いてなかったら、世界はまったく違っていただろうね。」
~ハービー・ハンコック~

「スティーヴィー・ワンダーは音楽界に足跡(そくせき)を残したんだ。
つまり、ポピュラー・ミュージックを変えたのさ。」
~ハービー・ハンコック~

「数十年後、数百年後に音楽の歴史を語るときには、
ルイ・アームストロング、デューク・エリントン、レイ・チャールズ、
そしてスティーヴィー・ワンダーの名前が挙げられるだろう。」
~エルトン・ジョン~

「スティーヴィー・ワンダーは、コール・ポーターやガーシュウィンのような人物。」
~エラ・フィッツジェラルド~

「今の音楽に起きていることに、いろいろ思うことはあるけど、
そのうち、すべてが片付くと思っているんだ」
~スティーヴィー・ワンダー~

「今日は昨日ではなく、すべてのものには終わりがある」
~スティーヴィー・ワンダー~

●終わり

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Last updated  June 24, 2007 05:11:04 PM
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