1843030 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

病理検査の玉手箱

病理検査の玉手箱

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

Keyword Search

▼キーワード検索

Profile

ミクロスコピスト

ミクロスコピスト

Calendar

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

コメントに書き込みはありません。

Freepage List

Headline News

2006.11.07
XML
カテゴリ:日誌
良性悪性の鑑別のための再現性のよい免疫組織化学的なマーカーを見つけることは難しい課題である.濾胞性腺腫と微小浸潤性濾胞腺腫の鑑別にGalectin-3が使えるかと思ったが,ことはそう単純ではないようだ.今日は甲状腺腫瘍の勉強に費やした.

Mehrotra P, Okpokam A, Bouhaidar R, Johnson SJ, Wilson JA, Davies BR, Lennard TW. Galectin-3 does not reliably distinguish benign from malignant thyroid neoplasms. Histopathology. 2004;45:493-500.
Galectin-3は良性の甲状腺腫瘍や腫瘍様病変と癌との鑑別のためのマーカーとしてFNACなどで期待されている.乳頭癌38例,濾胞癌19例,濾胞腺腫32例,腺腫様過形成35例のホルマリン固定材料のgalectin-3の免疫組織化学的な発現を検討した.新鮮甲状腺組織のWestern blot分析を併用した.Galectin-3は乳頭癌の92%,濾胞癌の74%に発現していた.濾胞腺腫の72%,腺腫様過形成の57%でも発現が認められた.さらには正常な濾胞上皮や橋本病の濾胞上皮にも発現が認められた.染色性は腺腫様過形成や濾胞腺腫より乳頭癌の方が有意に強かった.しかし,濾胞腺腫と濾胞癌を比較しても染色性に有意な差は観察されなかった.Galectin-3は甲状腺の良悪性を判別できる免疫組織化学的なマーカーではない.

Oestreicher-Kedem Y, Halpern M, Roizman P, Hardy B, Sulkes J, Feinmesser R, Stern Y. Diagnostic value of galectin-3 as a marker for malignancy in follicular patterned thyroid lesions. Head Neck. 2004;26:960-966.
濾胞性甲状腺病変の良悪性は術後の病理組織学的検討に委ねられている.結果的に甲状腺手術を受けた20%の患者だけが悪性と診断されるに過ぎない.Galectin-3が術前評価に役立つかを検討した.54例の濾胞性甲状腺病変の免疫組織化学的な染色を施行し,染色された領域と染色強度を評価した.Galectin-3の染色による良性と悪性の鑑別について,感度,特異度,陽性予測率,陰性予測率はそれぞれ82%, 68%, 75%, 77% (p=.0002)で有意差が認められた.Galectin-3の染色は濾胞性病変の良悪性判定のための感度の良いマーカーである.Hurthle細胞腫瘍,微小浸潤濾胞癌では診断上の課題が残る.

Weber KB, Shroyer KR, Heinz DE, Nawaz S, Said MS, Haugen BR. The use of a combination of galectin-3 and thyroid peroxidase for the diagnosis and prognosis of thyroid cancer. Am J Clin Pathol. 2004;122:524-531.
免疫組織化学的にgalectin-3の感度は乳頭癌92% (22/24),濾胞癌44% (4/9)であった.Thyroid peroxidase (TPO) の感度は乳頭癌50% (12/24),濾胞癌11% (1/11)であった.両方を組み合わせるとの感度は乳頭癌96% (23/24),濾胞癌44% (4/9)であった.予後の観点から両マーカー陽性の乳頭癌の患者には腫瘍の再発はなかった.Galectin-3のみ陽性の乳頭癌患者では57%(4/7)が再発し,2例で病態持続,1例で病態進行だった.この研究結果は従来の報告に追随するもので,galelctin-3だけが乳頭癌の診断の感度が高く,濾胞癌に関しては感度は不十分であった.TPOだけでは乳頭癌,濾胞癌の診断の感度は乏しい.Galectin-3, TPOの併用で診断精度は向上し,両方陽性の乳頭癌では予後良好であった.





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2006.11.07 22:37:31
[日誌] カテゴリの最新記事



© Rakuten Group, Inc.