陰陽五行説陰陽五行説とは
薬膳は中医学(中国伝統医学)という学問の上に成り立っています。 そして中医学は「陰陽五行説」という中国の古代思想から発展した医学です。 では「陰陽五行説」とはいったいどんな思想なのでしょうか。 『陰陽説』 西周時代(前11世紀-前8世紀) 宇宙万物の本源を太極と定義し、太極から陰陽二気が生じ、陰陽が互いに作用しあうことで、森羅万象すべての事象に消長が生じるとする陰陽思想が発展した。 『五行説』 夏王朝の禹(う)王が治水工事のとき、亀の甲羅に数字の「魔方陣」の模様を発見したとされる。魔方陣とは、中央に五、その八方に一から九を配置した図で、どのように足しても十五になる九星気学の天盤図のことである。そして、禹王が亀の甲羅に記された文様から「五」の数のもつ霊力を悟ったことから五行説が誕生したとされる。 春秋時代、『書経』の洪範に五行配列の目次が記されたのが五行説の初見とされる。五行配列とは、万物の構成要素を「木火土金水」の五行に分類する配列のこと。 戦国時代後期、『呂氏春秋』では、十干に陰陽説と五行説を導入しており、この時期から陰陽五行の一体化が始まったと思われる。 戦国時代末期、鄒衍(すうえん)が王朝の易姓革命(統治者の王姓が代る)は五行の相剋(そうこく)から生じるとする革命論『終始五徳論』を著した。 剋(克・尅とも)には、下克上や克服の語があるように、耐えて打ち勝つという意味があり、相剋とは互いに攻め、互いの足を引っ張り合うことをいう。 五行は互いに相生(そうせい)相剋(そうこく)することで事象に消長が生じるとする。 『五行相生』 五行の「木・火・土・金・水」の配列が生成する「木(生)火、火(生)土、土(生)金、金(生)水、水(生)木」の関係を相生関係とする。つまり「木は燃えて火になり(木生火)、火は燃え尽きて灰になって土を生み(火生土)、土の中に金属ができ(土生金)、金属のまわりには水滴がつき(金生水)、水分を吸収して木が育つ(水生木)」 『五行相剋』 五行の「木・土・水・火・金」の配列が生成する「木(剋)土、土(剋)水、水(剋)火、火(剋)金、金(剋)木」の関係を相剋関係とする。つまり「木は土の成分を吸収し(木剋土)、土嚢で水の流れを塞き止め(土剋水)、水をかけて火を消し(水剋火)、火の熱で金属を溶かし(火剋金)、金属の斧で木を倒す(金剋木)」 やがて、相剋説と相生説が一体化し、五行の相剋と相生によって事象に消長が生じるとする現在まで伝承された陰陽五行説の理論が完成した。 ・・・続く
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