『肉用牛BSE感染』と、これからの食卓は…
厚生労働省は17日、長崎県壱岐市で繁殖用に飼育されていた雌の黒毛和種1頭がBSE(牛海綿状脳症)感染牛だったと確認した。国内でのBSE感染牛としては24頭目で、肉用牛としては初めて。これまで乳用牛でしか感染例がなかったが、肉用牛でも発覚したことから、農林水産省などは感染経路の特定を急ぐ。【NIKKEI NET】国内では初めての肉用牛のBSE感染が確認された。今までは乳用牛だった為、直接的には関わりがなかったのだが、新たに肉用牛に感染が認められた事で今後の米産牛肉輸入問題にも新たな議論が巻き起こるである。日本では現在肉用牛に関してはBSEの全頭検査が行われているので、市場に出るまで危険な牛をチェックする体制が整っている。肉用牛の感染ルートを追跡するのはもちろんだが、チェック体制により市場に出回るのを阻止できたと言うことは素晴らしい。今日の新聞でシーファー駐日大使が、「輸入再開まで時間がかかれば、貿易戦争になりかねない。」と述べたが、初歩的なチェック体制の整っていない米産牛肉を輸入するのは、日本の人からすれば納得がいくものではないであろう。大手居酒屋チェーンを展開するワタミ(渡邉美樹社長)は牧場を買収し、肉牛飼育業に参入すると発表した。自社店舗での牛肉用に使用されるという。今までの居酒屋及び焼肉店は全て肉や食材を卸業者に頼むしか手立てがなかった。ワタミは自社飼育した牛を自店舗にまわすことで、国際貿易の影響等を受けずに食材を調達することができる。すでにワタミは自社農場も経営しており、チェーン店舗での野菜を自前で調達している。餅は餅屋と言ってた時代が変わろうとしている。商品の流通は生産、卸、小売そして消費者に届くのが常であったが、生産段階を買収することで中間コストの卸を省く事ができる。それにより低コストで販売できるというメリットがあるが、専門性の高い生産を運営できるかどうかというリスクも付いてくる。これからも食肉は日本の家庭には欠かせないものである。しかし食卓が国家間の貿易紛争に巻き込まれる必要はない。これからは自前で調達できる体制を一層強化してゆくべきである。