『途方もなく霧は流れる』 唯川恵
『途方もなく霧は流れる』 唯川恵を読みました。大手の航空会社をリストラされた男性が、以前父の持っていた別荘のある地軽井沢へ移住してきた所から話は始まります。男性は、離婚した後に付き合っていた女性とも別れ1人寂しく軽井沢にやってくるのですが、女性と別れた原因は女性から仕事をリストラされたからではなく、いつも決断を女性に委ね、一見自由にさせてくれているようで実は責任を取ることから逃れていたところが別れの理由と指摘されます。女性は背負って欲しいと思うときがあるのでとても納得できました。自分で決めるって実はとても大変な作業で、決めてもらっているほうが楽であるということが大人になると分かります。軽井沢では、新しい人たちとの出会い、そして大事な家族となる犬との出会い。犬とのシーンは、著者の唯川恵さんが実際犬と暮らしていた体験談が書かれているのだろうなと思いながら読みました。唯川さん自身も、犬の為に軽井沢に引越ししたという愛犬家だったのは有名な話です。犬との別れのシーンではとても悲しく涙を誘います。私は、犬を飼ったことがないけれども大切な家族との別れならどんなにつらいんだろうかと思いながら読んでいました。軽井沢で出会った人、恵理、ゆり子との最後にあきらかになる意外なつながり!だから男女の関係にならなかったんだなあと思ったり。最後は前向きなストーリーで話に引き込まれて一気に読んでしまいました。読みやすい内容でおもしろかったです。