『母性』 湊かなえ
『母性』 湊かなえを読みました。本の帯に「これが書けたら、作家を辞めてもいい。そう思いながら書いた小説です」とあったので期待して読んでいた分、少し読み終わった際うーんとなった本です。そんなにかなあと。母性というのは、元々備わっているのかもしくは作られているのかというのがテーマではありますが、母と子の立場で必死に何とかコミュニケーションを取ろうと思いつつうまくいかない二人の様子が書かれています。母親の真の気持ちは自分の母親への愛情の方が強くてもなんとか自分の子供へも愛情を注ごうとし、子供は無条件に母親を助けようとする。しかし、それがお互いに心に思っているだけで伝わらない。夫もお母さんは賢いから言わなくても分かるだろうと言ってしまい言葉にしない。家族だからこそ、言わなくても分かり合えるというところが危うい、やはり言葉にしなくては伝わらないということを改めて思い知らされた内容でした。