東京麺通団 (東京・西新宿) - さぬきうどんの疑似体験 1
早速、今年初の東京出張である。昨年はANAのステータスがプラチナ(=スターアライアンス・ゴールド会員)になるほどのペースだったが、今年もしばらくはこのペースでの出張が続きそうである。まだ若いので大丈夫だと、今のところは蓄積されているであろう疲労をせせら笑っていられるのだが。 私が勤務する会社では、出張時に特別手当が出るわけではなく、実費精算で経費を処理することになる。この原則でいけば、いくらでも高いものを飲み食いして会社に請求できることになるように思えるのだが、同時に「ビジネス上妥当な行動を取るように」という別の規範も存在し、極端に大人気ない請求をするわけにもいかないのである。 というわけで、夕食の場合2,500円程度までは経費処理できる、というのが”unspoken rule"になっている(特に営業部の場合)。 東京の出張先といえば営業所のある新宿が中心となる。近くに歌舞伎町があったりするわけだが、前述のunspoken ruleと、それからお酒が呑めない事情から、私には、ある程度行きつけの店が決まってくることになる。 今日はその中でも、取っておきのお気に入り、「東京麺通団」をご紹介したい。今年初の出張で、ここを逃すわけにはゆくまいと、早速前泊日の晩からいそいそと馳せ参じたわけである。 さぬきうどんそのものについての話は、また日を改めて熱く語ることにして、今回はさわりだけ。 新宿西口、大ガード付近から徒歩二分。こんな感じの店構えである。 店のスタイルはいわゆる「セルフ形式」で、最初にうどんのメニューを注文し、トレイに配られたら、天ぷら・おでんといったトッピングを順に取ってレジに持っていき、前払いで会計するというスタイルである。 [うどんを注文カウンター(左)と、トッピングコーナー(右)] そもそも、なぜここが私の行きつけとなったのかと言えば、ここがいわゆる「さぬきうどんブーム」の火付け役となった、ベストセラー「恐るべきさぬきうどん」(下に文庫版のアフィリエイトリンクをご紹介しておく)の麺通団がプロデュースする店だからである。 ちなみに、コラムニスト勝谷誠彦も、アドバイザーとしてこの店のプロデュースに携わっている。 [『麺地創造の旅』編(単行本1・2巻に相当)と『麺地巡礼の旅』編(単行本3・4巻に相当)] さぬきうどんが、いわゆるうどんと別の食べ物であり、その特徴が何かを説明するのには、最低3エントリーが必要である。というわけで、そこら辺の説明は軽く流すことにするが、1) 「さぬきうどん」の中には、ものすごく腰の強いタイプの麺を出す店があって、こういう店でその魅力を味わうには冷たい系の注文がよいこと、2) さぬきうどんには独特のメニューがある という基礎知識だけあれば、最低限の理解はしていただけるように記述を進めたいと思う。 [左はうどんのゆで上がり直後、右は全トッピングを盛り終わった状態] サイズには大と小があるが、少々の量は食べきれる私は小を2玉注文することにしている。この際、冷たいメニューと『かまたま』というのがゴールデンパターンとなっている。 今回は、冷たいメニューとして『ぶっかけ』を注文。『ぶっかけ』とは、冷たいうどんにたまり醤油を元にした、いりこダシ(いりこを使うのがさぬきうどんの特徴の一つである)をぶっかけたものである。東京麺通団では、さらにレモンを絞っていただく。 そして、私の超お気に入り『かまたま』は、『釜揚げ卵うどん』の略で、熱くゆがいたうどんに生卵を落としたものである。かき混ぜると麺の余熱で卵が半熟状態になり、独特の食感が味わえる。これにダシ醤油を垂らして食べる。雰囲気で言えば、カルボナーラのようなものであり、卵かけご飯のようでもある。さぬきうどん独特のメニューである。 これに、天ぷらとおでんを数品をつける。時間帯によってはおでんの種類の数に当たりはずれがあるのだが、どれもしっかり味が染み込んだ秀作である。余力があればぜひチャレンジしていただきたいと思う。 …、でこれだけ食べて1,230円であった。お腹一杯になりながらも、この値段。一杯100円程度の本場香川の値段には敵わないが、出張の晩御飯として会社に請求するのに堂々と経費処理書に記載できる額である。 なお、さぬきうどんにおでんをトッピングするという事実に、他府県の方は驚かれることが多いのだが、香川県ではこれはメジャーな食べ方である。ついでに言えば、ちらし寿司やいなり寿司もうどんのサイドメニューとなる(東京麺通団にはおにぎりが用意されている)。 エントリーが長くなってきたので、また改めて続きを。この店については、3回ぐらいに分けてお話ししたい。 ちなみに、今回の出張では2泊新宿に滞在したが、晩御飯は2食ともここで食べて帰ってきた。 ここに、私の並々ならぬ入れ込み具合をお察しいただければ幸いである。