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テーマ:お勧めの本(7395)
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私のイギリス好き・馬好きの原点となった本です。
小さいころ、TVの海外ドラマ版も観たおぼえがあります。 人間の伝記はキライだったのに、この「ブラック・ビューティ」という馬の伝記を、私は何度も何度も読み返しました。 人間のいわゆる偉人伝では、主人公が(たとえば逆境にもめげず)いかにがんばって自分の人生を切りひらいたか、みたいな話が当時は多かったように思います。特に、アメリカの話にそういうのが多かったような・・・お国柄なのでしょうか。 それに比べて、ブラック・ビューティは何しろ馬なので、誰に飼われるか、どこへ売られていくか、自分で決めるどころか、予想することもできないし、大事に世話してもらえるかどうかも分からない。ただ、忍耐強く「仕事」をするだけ。 そんなままならない人生(いえ“馬生”)が、教育的効果ねらいの立志伝よりも、私の(日本人の? または、子供の?)好みにぴったり来たのかもしれません。 同じことは、私の好きなドリトル先生シリーズの中の、『キャラバン』『緑のカナリア』(これも19世紀英国が舞台です)に出てくる、カナリアの伝記にも言えます。 カナリアのピピネラは、かごの鳥ながら色々と大胆な活躍をして、いくらか自分の人生を自力でつくりあげています。しかし、ブラック・ビューティは、非常に気だての良いおとなしい馬であり、運命のままに、さまざまな出来事、さまざまな人にであってゆきます。 時にひどい扱いを受けても愚痴一つこぼさず、卑屈にもならず、常に沈着冷静に堪え忍ぶブラック・ビューティの姿は、見上げたものですが、もしこれが人間の物語だったら、「おしん」のような、運命に翻弄される苦労話、になっていたでしょう。 ところが最初から自由のきかない馬であるがゆえに、かえってブラック・ビューティには「おしん」的な雰囲気はなく、幸福な時は穏やかで心暖かい気質を、不運な時も不思議に賢さを失わない一種の気品を、ずっと保っているのです。 そのすばらしさは、馬という動物の持つ気質そのものという感じで、私はすっかり惚れこんでしまいました。 そしてまた、ブラック・ビューティが生まれ育った牧場や、二輪馬車で走った田舎道、辻馬車をひいて駆けめぐったロンドンの町などを、楽しく想像したものです。 岩波少年文庫版の、挿絵もリアルで暖かみがあって、とても好きなのですが、どういうわけか、私の手持ちの本には誰の描いたものなのか記載がありません。どなたかご存じならばぜひご一報を。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
October 5, 2005 10:09:13 PM
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