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HANNAのファンタジー気分

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October 5, 2015
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 大好きな『最後のユニコーン』(P・S・ビーグル)の続編について書くのに、いろいろ検索していたときのこと。
 偶然、『最後のユニコーン』に関する“論文”が載っているサイト FANTASY AS ANTIFANTASY を見つけ、「ほほう!」と思いました。ずっと以前『最後のユニコーン』本編(旧版)について熱く語ったときには、気づけなかったのですが、論者は黒田誠氏という、ファンタジー文学の専門家の方です。

 私が卒論に『指輪物語』を書いたころにはファンタジーの手頃な研究書はあまりなく、偶然入手した洋書の小論集を一生懸命読んだりしていました。それにくらべると昨今はこのジャンルが学問の世界でもきちんと認識されて、いろいろな論文や研究に手軽に触れることができるのは、すばらしいことです(私の頭が老化して、なかなか読めないのが残念)。

 ともあれ、このサイトには、論文や大学の講義内容などが掲載されているので、喜んで折々に読んでいましたが、やはりこういう中味のある(難しい)内容は、片手間ネット(私のネットの活用のしかた)ではなかなか読み進めません。で、とうとう本を買ってしまいました。
 『アンチ・ファンタシーというファンタシー』です。初めに、ファンタジーというジャンルの位置づけや研究のスタンスについて説明があり、この部分がちょっとシロウトには読みづらい・・・メタフィクションとか、トランセンデンタル(超絶主義的)などという用語がいっぱい出てきます。さらに、専門的な長い熟語が--「形而上学的パースペクティブ構築フォーミュラ」とか--これはこれで、くどくど述語的に説明されるよりは、実は分かりやすいのですが、初見ではとまどいます。

 そんな困難を越えて読み進むと、私が今までちょこちょこ突っ込んでみたかったあれこれが、とりあげられていて、何だかうれしくなってきました。
 たとえば、とくに動物の出てくるファンタジーや童話において、動物を殺生して食べるという行為をどう扱うか。動物語がしゃべれる獣医のドリトル先生は、動物の肉を食べるのか? 宮沢賢治のヨダカは食物連鎖世界を脱して星になってしまうし。
 本書では、『ピーター・パン』に出てくる殺すことや食べることの問題を紹介し、その注釈にドリトル先生や賢治のことも解説されていますv

 筆者はつづいて、『ピーター・パン』のピーターや子供たち、フック船長などを掘り下げて論を展開していきますが、いやもう、目からウロコの面白さです。
 といっても、実は私は『ピーター・パン』を読んだことがなく、ディズニーの映画で知っているのみです。しかし、大向こう受けを狙って原作が改変されたディズニー映画でさえ、ピーターの行動の不可解さや唐突さが気になり、あまり好きになれません。反対に、ハープシコードを弾くフック船長がなぜかとてもかっこいい、と思っていました。
 今回、「ハートレスな子供たち」や「キャプテン・フックの憂鬱」のくだりで、原作における彼らについて理解が深まり、なるほどディズニー映画ではそれをあんなふうに変えていたのね、と少しは納得がいく感じです。
 ピーター・パンに興味のある方、一読の価値ありです!

 さて、『最後のユニコーン』は最後の方に出てくるだけで、こちらのメインは続編『アンチ・ファンタシーとしてのファンタシー2』にあるようです。ぜひ、読まねば!





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Last updated  October 6, 2015 12:10:59 AM
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