管理職の基準
さて今日は身近で気になったニュースを取り上げて考えてみたいと思います。 「<マクドナルド訴訟>店長は非管理職 東京地裁が残業代認定」 ハンバーガーチェーン「日本マクドナルド」の店長が、 管理職扱いされて時間外手当を支払われないのは違法として、 同社に未払い残業代や慰謝料など計約1350万円の支払いを求めた訴訟で、 東京地裁は28日、約755万円の支払いを命じた。 斎藤巌裁判官は「職務の権限や待遇から見て、 店長は管理監督者に当たらない」と述べた。 同社では正社員約4500余人中、約1715人(07年9月現在)が店長。 チェーン展開するファストフードや飲食店では 同様のケースが多く存在するとされ、判決は業界に影響を与えそうだ。 訴えていたのは、125熊谷店(埼玉県熊谷市)店長、高野広志さん(46)。 99年に別店舗で店長に昇格して以降、残業代が支払われなくなり、 時効にかからない03年12月~15年11月の2年分について 約517万円の支払いなどを求めた。 労働基準法は時間外勤務に対する割り増し賃金の支払いを規定しているが、 「管理監督者」は適用外になる。 訴訟では、同社の店長が管理監督者に当たるかが争点だった。 判決は管理監督者を「経営者と一体的立場で 労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、 賃金が優遇されている者」と判断。 同社店長について、店舗責任者としてアルバイトの採用や 運営など店舗内の権限を持つにとどまり、 経営者と一体的立場とは言えないと認定。 さらに、品質・売り上げ管理などに加え、調理や接客なども行うため、 労働時間の自由裁量性は認められず、 部下の年収を下回るケースもあるなど待遇が十分とは言い難いと指摘した。 その上で未払い残業代約503万円を認め、 労働基準法に基づきその半額について懲罰的な意味合いを持つ 「付加金」の支払いを命じた。【2008年1月28日 毎日新聞】ということなんですが,店長という肩書きから安易に管理職というイメージを私たちは持ちがちですが判決によると「経営者と一体的立場で労働時間の枠を超えてもやむを得ない重要な権限を持ち、賃金が優遇されている者」が管理職ということですね。たしかにこの種の店長さんは実際厨房に立たれていますし労働時間の自由裁量性は認めにくいと思います。もちろん,資本の論理としての利潤追求の観点で言えば管理職と強弁して残業手当などを搾取することは理解できます。しかし,働く側の視点に立てば店長の方が部下よりも年収が低いような状況が現実にあれば労働意欲の点でマイナスに働くことは予想できます。お金が全てとは言いませんが,労働内容に相応しい対価を得ることがやる気や自分の仕事に対するプライドにつながるのではないでしょうか?例えばマクドナルドでも食品偽装の問題がニュースになりましたが,現場で働くものがそれに相応しい対価を得ていたら,自分の仕事を辱めるような事件は減るのではないでしょうか?そして今回の事例に限らず人件費の削減が日本の経済界にとって大きな問題になっていることは言うまでもありません。そしてこのワーキングプアと呼ばれている問題を考える時日本国内の景気動向に目を奪われがちですがそれだけでは本質は見えないと思いますし経済のグローバル化の中で生じているという視点を持つことが必要ではないでしょうか?簡単に言うと経済のグローバル化が進行する中で企業は利潤を確保するために人件費を削減するだけでなく積極的にアウトソーシングしていきます。派遣労働の問題が近年クローズアップされていますが背景に経済のグローバル化があることを忘れてはいけません。そして,そのアウトソーシングの流れは国内にとどまらず海外にも及んでいます。例えば中国ではユニクロのような製造業だけでなく総務や経理といった作業もアウトソーシングされています。中国にホワイトカラーの業務を移した日本企業は約2500社数万人が日本企業の関連業務を行っているそうですが,そのことは単純に考えると日本国内において数万人規模の職が喪失していることになるのです。もちろん,安易な排外主義を唱えるつもりはありません。しかし,日本が抱えるワーキングプアや失業などの労働問題を考える際にグローバル化の流れで捉え対策を講じる必要があると思います。安易に減税したり公共事業などの従来の対策では解決には結びつかないのではないでしょうか?そして,私たちもそのことを考えない限り子どもたちの未来を教えることが絵空事になってしまう…目の前の大学進学も大事ですがその先を見据える視点を持った子を育てたい未来に確信が持てるように…←励みになりますのでクリックをお願いします