カテゴリ:彼の彼女になる条件 小説
またまた今日も夕方ちょっとdあめなんで、朝更新!!!!
彼の彼女になる条件 バタバタ。足音。 何でだろう。ショックだ。ショックでショックでショックで。あぁ、拒絶されたんだ。 「待てよ」 気にしない、気にしてなんかやらない。空耳、空耳だ。それとも天の声?あたしって天使だったんだ。んなわけあるか。違う、振り返りたくない。振り返るもんか。 「ごめん、待ってよ」 絶対、絶対絶対振り向いてなんかやるもんか。駄目だ駄目だ駄目だ。なんで、本当にこんなにもいとも簡単に泣いてしまうんだろう。あぁ、馬鹿だ。追いつかれることを知っている。だけど足は止まらない。放っておいてよ。関係ないんでしょ、拒絶したでしょ。中途半端な優しさは。猛毒だ。あたしの心の中に、染み入るように入っていって浸食する。浸透していく。あんたの言葉が、あんたの優しい言葉が。あんたの温かい、温度が。全部全部全部浸透していく。ヒアルロン酸が肌を潤すみたいに、あんたの言葉はあたしの心を浮き足立たせる。だけど、あることをきっかけに刃になる。鋼鉄の刃になって心臓一突き。突き刺さる、深い所へどこまでもどこまでも。そして血を流した自分を醜いという。 人の言葉なんて、そういうもんだ。 「いい加減、人の話し聞けよ!!!!さっきのは、そういう意味で言ったんじゃない。話聞けよ」 「何の話?あたしに何の話があるの?邪魔はしません、とっととかえってるだけだけど?」 「ムカつくんだよ」 「じゃあ顔見なきゃいいじゃん」 「違う」 「じゃあ、何がムカつくわけ?」 「全部だよ、何で他の奴と一緒に喋ってるわけ?しかも楽しそうに、最高に可愛い笑顔までつけてさ、何なの?やっぱり隼人の方がいいわけ?なんで俺ばっか芝山のことすきなの?まぢ、信じ難いんだけど。俺、結構モテるんだよ。アドだって女子から聞かれたりするし。なのになんで俺のこと見ないの?俺、こんなもどかしいのやだよ」 矢継ぎ早に言っていく星川を見て泪が出た。哀しいとか、嬉しいとかそういうのじゃない。只、泪が出た。 「おんなじだ」 「はっ?」 しゃがみ込む星川の前に立つ。そして、同じようにしてしゃがみ込む。 「だから、おんなじだって言ったの」 いつもは星川から抱きついてくる。だけど今日はあたしから。 「星川葵さん」 「何、改まって?」 「好きです、付き合ってください」 「はっ?」 「だから好きなんだって。いっとくけどあたししつこいから断られても好きでいるんだけど」 「えっ」 困惑した表情を見て少し面白くなった。 「ガムテープの粘着力以上に粘着質なんですけど。あんたがすきなんですけど。頭に蛆虫わいちゃったかな?」 「いいよ、わいてても」 「粘着質でも?」 「どんと来い」 「デートの時食費かさむよ」 「バイト精進します」 「後、描いて」 「何を」 「あたしの絵。あんたの腕も、あんたの髪も、あんたの顔も、頭の先からつま先のうぶ毛一本まであたしのもんだから。覚悟してよ」 「見せたいものがあるんだけど」 突然、立ち上がったかと思う来た道を全速力で戻る。 始まりの場所美術準備室。 「何?」 「ずっと、ずっとずっと見てたわけ。中学受験で会った時から、僕は君に恋をしてたんですよ」 「ふざけたこといわないでよ」 「シャーペンの芯くれたじゃん。俺がないのみかねて。ほんっとそんときからフォーリンラブです」 「嘘」 「307番と308番。席もお隣同士だったのに、気付いてくれない時は泣きそうでしたよ」 「えっ、ごめん」 「んで、俺の彼女になる条件あるんだけど」 ドクッと心臓が大きく飛び跳ねた。 「何?」 「悪い意味で依存しないこと。良い意味で依存すること」 「電話して良いの?自分から。メールしても別れるなんていったりしない?」 「芝山、僕は猛烈に隼人に腹が立ってるんですけど。そんなこと条件にしたわけ?」 眉間にしわがよっている。だけどそれさえもいとおしいとおもうあたしはやっぱ重症だ。 「いいよ、だってこれからはあんたがあたしの彼氏でしょ?」 「いいよ、これ見て」 そこには鉛筆で書かれた人物画があった。しわの一本一本まで丁寧に。笑顔の画。 「これ」 「何枚だって描いてやる」 「何枚じゃなくて、何万枚でしょ?」 「いくつでも」 笑顔の君。 「本当に?」 「いつまでも好きなんて、この先わかんないから言えない。だけど好きだよ。すっげー好き。押しつぶしたい位ギューっと抱きしめてやりたいし」 「キモいな」 「何だよ、酷いさっきはあんなに可愛く告ってくれたのに......」 「幻、幻。夢でも見てたんじゃないの?」 軽口時々憎まれ口 この先手を離すときがあるかもしれない あたし達は手を繋ぎながら思う その未来が出来るだけ遠く、はるか遠くになることを 君の体温君の条件 温か体温熱風教室 それでも君とのこの時間 忘れずポケットにしまっておこう この想いが色褪せても その時間は色褪せぬように 深く浅くしまっておこう END お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
June 29, 2007 06:13:20 AM
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