カテゴリ:金魚花 小説
またまた小説。多少グロいかもなんで、嫌いな方は見ないほうが吉。これって、去年ホラーに挑戦しようとして普通に挫折したのを完結させようと思って書いて見たんだよね。まぁまぁまぁどうせあんまり恐くないし、恋愛も混じってるんでどれもこれも中途半端な出来になっちゃうかもだけど許してやってください。でゎ
金魚花 紅い紅い大きな金魚。外の水槽で飼っている。あれを飼ってからもう7年経とうとしている。 雨の日も、台風の日も雪の日でさえ外の水槽で飼っている金魚。 私は、小さい時からずっと友達だった。いつもいつも上から覗いては、手を入れ掴もうとする私。 だけど、彼女はいつもスルリ手をすり抜け、奥深くに泳いでいってしまう。 絶対につかまらない存在。 大きな金魚が友達だと思っていたのは、もう昔々の事。今は、花の高校一年生。都立浜野高校に通っている。そう、本当にもう金魚の事なんて頭の隅に追いやられていたんだけど、突然気になりだしたのは、8月26日の事。その日は、地元の大きな花火大会があって、私は毎年のようにそのお祭りで、金魚すくいをやっていた。小さい頃は、あの金魚のお友達を増やそうと意気込んで、なけなしのお小遣いを半分以上使って、それこそ「金魚救い」をしていた。だけど、今は慣習みたいなもので、それをやらなければなんとなく、お祭りに行った気がしないので、やっていただけだった。 「今年の金魚は大漁大漁!!!!」 「美弥、お前そんなにとってどうするつもりだよ。」 そんな風に聞いてくるのは幼馴染の蒼。コイツとは腐れ縁で、幼稚園から現在に至るまで、全て同じクラスである。本当に腐れ縁なのか、腐りきった縁なのか解からないものである。 「いいじゃん、今年のは皆活きが良いからね、でっかくなると良いなぁ。」 「つか、あの金魚の水槽さ、いい加減に金魚多すぎてやばくない?」 「えっ・・・・・・」 そういえば、この金魚すくいで、もう7年になる。毎年5匹は水槽の中に入れているので、単純計算からいくと、あの中には最低30匹の金魚が入っている事になる。 「そういえば、私あの大きい金魚の姿しか見てないような気がする。」 「まじかよ、でもそれって異常じゃねぇか?死体とか上がってこねぇわけ?」 「一度も見たことないよ。病気だったら、あの大きいのも死ぬ筈だし。」 「あそこなら、鴉も来ないしな。もしかして、共食いとか?」 「えっでもそれもおかしくない?だっていつも餌あげてるし。」 「稚魚でもない限りどうやって食うかだよなぁ。」 「まぁいいや、今日はありがと。じゃあね蒼。」 「まぁ隣のよしみだ。大いに感謝してくれたまえ。」 後ろに振り返りながら蒼が言う。 「大いに感謝してますよ。隣の家の蒼君。独り者の寂しい寂しい蒼君。」 「てめぇも一人じゃねぇかよ。なめやがって。せいぜい大きい金魚に食われないように気をつけろよ。」 馬鹿な冗談を言いながら二カッと笑って家に入っていった。 「共食いカァ・・・・・・本当にそうだったら、アイツ肉食魚なのかなぁ。ピラニアみたいに。」 それから私は、5匹の金魚を水に放し、家に入った。 「ただいまぁ。ねぇ香也どこいる?」 香也とは妹の名前で、年は7つ違い。つまり小学6年生だ。 「はっ香也?あんたの友達?こんな所にいるわけないでしょ。」 「お母さん、何言ってんの?冗談にしては、ちょっと悪すぎじゃない?香也だよ、私の妹だよ!!」 「美弥、あんたどこかで頭でも打ったの?」 本気で心配そうな顔をして聞いてくる。 「頭なんか打ってないよ!!!!ねぇお父さん、なんかいってよ。」 「美弥・・・・・・お前、もしかして薬か何かやっているのか!!!!」 本気で涙ぐむお父さんとお母さん。何これ、何で皆香也の事忘れてるの? 「何てほんの冗談、お母さん本気で騙されてやんのぉ。」 「なによ、親をバカにするんじゃないの!!」 どうやら安心しながらも怒っているらしい。本気で香也の事を忘れている可能性が高い。 「ただいま。」 抑揚の無い声。拓也だ。 「おかえりなさい拓也。ご飯は?」 「いらない。」 「あっ拓也。ちょっと話しあるんだけど。」 「なんだよ、疲れてるんだけど。姉貴。」 「ごめん。じゃあ上で話そ。」 「じゃあお父さんとお母さん、お休み。」 階段を出来るだけ早く歩く。やっぱり、お父さんもお母さんもおかしい。 「で、姉貴。話って?くだらない話なら寝るぜ。」 「それが、ちっともくだらなくないのよ。あんた香也覚えてる?」 「妹の名前、忘れるわけ無いだろ。もう俺寝るよ。」 「馬鹿、最後まで話し聞きなさいよ。良い?単刀直入に言うわね。お父さんも、お母さんも香也の事忘れているの。しかも様子がおかしいのよ。」 「何?俺を担ぎたいわけ?姉貴は?本当なのよ!!!!」 力が無駄にかかったのか、拓也のクローゼットにぶつかり、開いてしまった。 「うわっ!!」 「危ないじゃねぇかよ、姉貴。頭から落ちてたらどうするんだ。」 とっさに拓也が肩を押さえてくれたおかげで滑りはしなかったが・・・・・・ 「ねぇ、ここさ生臭くない?」 「はっ?服しか入れてないのに・・・・・・・臭い。」 「待って!!お父さん達が上に上がってくるよ。クローゼットの中入って!!。」 「何で隠れんだよ。別に堂々としてれば良いじゃねぇか。」 「いやな予感がする。」 そういうと、拓也は渋々、だけど大人しくクローゼットの中に入った。そして私も拓也の部屋の電気を消して急いで、クローゼットに潜り込んだ。 「あの子達も始末しなきゃねぇ。」 「おいおい母さん、あせりは禁物だぞ。あの方はそんなの望んじゃいない。只、餌が欲しいだけなんだ。 あれは、何処に隠したっけ?」 「確か、庭の倉庫の中でしょ。」 「そうか忘れっぽいなぁ、俺もボケの始まりか?」 「そんな風になったら、殺してあんたを捧げるからね。」 どんどん足音が遠ざかっていく。 「何?今の会話?つか、姉貴、腕についてるの何・・・・・・」 「藻・・・・・・?じゃないなぁ水草か。何でこんな所っっ・・・・・・・!!!!」 「叫ぶな!!親父達が来て殺される。」 拓也が、私の口元を押さえる。 「何で・・・・・・香也。」 そう、クローゼットの奥の方にあったぬめりとしていたものは、水草が口の中にいっぱい入った、ほかならぬ香也だった。口の中に一杯詰まった水草はなぜか、ピチピチと音を立てている。 やだ、何で。あたし。 「たすけてよぉ、くるしい」 明らかに死んでいるはずの香也が喋っている。 「ッッ!!!!!」 青白くぬめりのある手であたしの首筋に力を込めていく。 やだ、死にたくない、嫌だ。息を止めるとこんなに苦しいんだ。あ……もう駄目。自分の口から涎が出てくる。拓也はまだこの事態に気付いてない。懸命に拓也の服を触る。 こっちをみると一瞬怪訝そうな顔をして見ていたが、次の瞬間思いっきりこぶしを振っていた。一瞬香也はよろめくともう一度あたしに襲いかかろうとしたが拓也はクローゼットのハンガーで右目をぐっとつぶした。ぐしゃ、っという音。なかから出てきたのは血ではなく蛆虫だった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
July 25, 2007 10:54:34 AM
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