カテゴリ:舞台いろいろ
2006年3月8日/日生劇場/ソワレ
パック:尾上松緑 ヘレナ:佐藤江梨子 ハーミア:保田圭 ライサンダー:海東健 デメトリアス:河相我聞 タイターニア:床嶋佳子 オーベロン:村井国夫 「羽のはえた妖精が金粉キラキラ撒き散らしながらヘラヘラ飛び回るような舞台にしたくない」 という方針の演出だったようですが、 うーん、そういう否定的方向に気負った舞台って空回りの可能性が高いのでは? 「西洋のエレガントとアジアのエッセンスが混沌と交じり合う」雰囲気の衣装ってのも、 よほどうまくやらないと、陳腐に陥りやすい、単なる混沌になりがちなのでは? 演出も衣装も、チャレンジして、そして見事に失敗したようで・・・。 (それでもいつぞやのスタジオ・ライフの芝居よりは観られたけど・・・あ、ライファーの皆様ごめんなさい!) 演出の意図にはマッチしていたことになるのかもしれませんが、 パックをはじめ、オーベロンもタイターニアも、妖精なんだか不良人間なんだか、消化不良。 はっきり言ってパックなんて、ただの太った拗ねた兄ちゃん。 それにしても松緑は実はお芝居を好きではないのだろうか? 梨園に生まれたからといって踊りや役者稼業が好きでないヒトも当然いるだろうから、もしかしたらそうなんだろうか? 舌が長いから滑舌が悪いのは仕方ないとしても、なんであんなに台詞が一本調子なんだろ。 もっと抑揚つけて喋れないのかな。 それにパックには(人間でも妖精でもいいけど)なんにしたって「軽さ」が必要だと思うのだけれど、 重い。はっきりいって鈍重でさえある。藤間流家元なのに。 もちろん松緑一人が悪いわけではなくて、 (興行の世界ってどうなってるのか知らないけれど)見事なまでの寄せ集め的出演者たちは、 はっきり言って学芸会でした(かろうじて村井国夫と床嶋佳子を除いてあげましょう)。 ヘレナ、ハーミア、ライサンダー、デメトリアス、みんな酷かったけど、 ハーミアはまだ我慢できた(「まあ頑張ったわね」の敢闘賞的表現)として、 ヘレナは役者の発声になっていないので大きな声をだす=ひたすら叫ぶという状態で疲れちゃった。 それでもこの4人は主要人物なのでなんとか観ていたけれど、 二幕の劇中劇はつらかった・・・早く終われと念じながらひたすら終わるのを待ちました。 (終演後、シェイクスピア通の寝覚月さんに、あの劇中劇は必要なものなの?と訊いてしまいました。) そう、演出や衣装だけじゃなくて美術も?だった。 最後の夜景、あれは具体的にはっきり「アトランタの空港の夜景」にしか見えませんでしたよ。 音楽的にはケチャ、アフリカ民族音楽、和風メロディ、 衣装的には中央アジア、ギリシャ、なんだかねぇ。 今回、そもそも全然気乗りがしてませんでした、実は。 RSCの公演にも行き、その関係のレクチャーにまで通ったかつての演劇青年・寝覚月さんが 「だってシェイクスピアだよ、夏の夜の夢だよ、誰がいじったってそれなりに面白いよ、絶対!」と言うので、 梅見月さんと私が「3,150円の席なら・・・」とお付き合いしたのでした。 そんな経緯だったので幕間での寝覚月さんの怒り(落胆は通り越してる)は本当に頭から湯気がみえるようで。 自分が誘った芝居がつまらなかった時って、気持ちの持って行き場がなかなかないものよね。 でも、梅見月さんにとっては睡眠不足の解消に役立ってたみたいだし、 私にとっては日記のネタができたということで。 まあ、結論は、 サトエリが本当に素晴らしいプロポーションで思っていたより全然細いのが眼福だったというとこかな。 ああ、それより、 松緑がこれからどんな役者になるのかが心配。 五月は久しぶりに海老・菊・松で三之助そろい踏みなんだけど・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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