町田氏は「信頼」という表現について、「「信頼する」という形で使われることが多い」として、「信頼する」の代わりに「信頼を置く」という表現があることを紹介する。一方で、「預ける」については「他人の世話に任せる」ことで、「「命を預ける」ならば、自分の命を相手に左右させるほど信頼するということだ」として、「「信頼を預ける」は自分の信頼を相手の自由にさせるという意味になり、自分が相手を信頼するという意味にはならない」と結論する。
今回は割ともっともな論理展開であった。
しかし、「荷物を預ける」が、「自分の荷物を相手に自由にさせるという意味」になるかというと、少し違う。「預ける」を「命を預ける」という表現から直接その意味を措定しているのが形而上学的ではある。まさに「命を預ける」という表現から、「信頼」という大切なものを「預けられる」ほどに信頼しているという、レトリックとしての表現なら、この表現は成立するのではないか。「信頼を寄せる」という表現も同様の意味で使われるが、「寄せる」以上の「預ける」のであれば、ヨリ信頼している様子が読み手・聞き手には伝わるのではないか。
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最終更新日
2014年03月12日 22時08分40秒
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