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カテゴリ:本
『「チャレンジド」が社会を変える プロップ・ステーションの挑戦』竹中ナミ著 筑摩書房
少し前にこの本の著者、竹中ナミさんの講演をお聞きする機会がありました!会場でこの本を購入し、サインもいただきました!いつもどおりのミーハーな自分のことはさておき。 ナミねえさんのお話、本の内容、どちらも自分の小さな世界観をゆすぶられました。 プロップ・ステーションのことは何となく知っていて、ハンディキャップをもつ人たちのことを「チャレンジド=神から挑戦すべきことを与えられた人々」という言葉で呼び、「チャレンジドを納税者に!」と活動をされていることも、ホームページなどで見て少し知っていました。 講演会に参加するにあたり、竹中さんのプロフィールを見て、「重症心身障害のお子さんがいるんだな」とか「中卒でバツいちで不良」とか書かれていて、元気のいいおばちゃんなんだろうなっとか、勝手に想像してました。 お話を聞いてまず思ったことは、勝手に想像していたイメージとかなり違う!ということ。なんていうか、とっても謙虚な方でした。私がこんなことをいうのもなんですが、“理念がしっかりしてて、筋が通っていて、自分の役割をきちんと理解されている、とても賢い方”そして、その伝え方に嫌味がなく、お話しのすすめ方がとても上手。 それは、この本を読むとさらによくわかりました。 今の状況ときちんと向かい合い、わからないことやできないことにきちんとSOSが出せ、仲間を見つけ増やしていく。そして、その繰り返し。 企業や行政との付き合い方についても、「敵対関係でなく、パートナーシップを」というスタンスで、自分たちの活動の理念と今しようとしていることを伝え、協力者を増やしていく。 この本で一番共感をおぼえたのはNPOや市民活動へのナミねえの考え方です。 --------------------------------------------------------- 市民活動には「私たちは世のため人のために正しいことをやっているんだから、行政は支援してしかるべきだ」という姿勢の人たちをよくみかけます。主張の内容は正しいかもしれません。ただ、私は基本的に考え方が違うんです。私が世のため人のために正しいことをしているかどうかは、他人が判断すること。忘れたらアカンのは「私はやりたくてやっている」ということ。そこに税金を使うことが正しいかどうかは、私が判断すべきことじゃない。私は自分がやりたくてやっているんやから、人さまからお金が「出て当たり前」やなくて「出なくて当たり前」。ましては税金ならば。 それが出発点なんです。「プロップの活動ならば税金が出てもええやないの」と、自分が思うんじゃなくて、いかに多くの人に思ってもらえるか、そこに賭けている。 -------------------------------------------------------- NPOや市民活動へのナミねえの考え方に共感したのではありません。 それを誰が判断すべきことなのか、という視点の置き方に、です。 すごく稚拙な例ですが、テレビで「小学生の親が子どもに望むならどっち?!」という2択で ・勉強の出来る子 ・クラスの人気者(みんなに好かれる子?だったかも) というのを100人の親に聞いたら、6~7割近くの人が ・クラスの人気者(みんなに好かれる子?だったかも) を選んだそうです。 私は、この2択なら迷わず ・勉強の出来る子 です。 なぜなら、“クラスの人気者(みんなに好かれる子?)”なんて、誰の価値観だ?!誰が決めること?!と、真っ先に思ったから。 個々人とのつきあいがきちんとできれば、人気者もしくはみんなに好かれなくったっていいです。勉強が出来るかなら、親やその子自身が、頑張っているかどうかの判断が人気者かどうかよりしやすい気がします。 そうそう、ナミねえさんが、講演の最後の方で 「自分の身の丈にあったことを、それぞれが精一杯やっていきましょう」というようなことを言われました。 大切なのは、「自分のできること」に目が向けられること。 今まで福祉関係者も一般の人たちも、ハンディキャップを持つ人たちの“出来ないところを支援する”というスタンスできたと思います。 “できないところではなく、できることを見よう” そして“チャレンジドを納税者に”、“社会を支える側にまわって、誇りを持てるようにしよう”。 支援ってなんだろう。対等な関係ってどんなだ?! 自分の小さな価値観をぶんぶんを揺さぶられた1冊です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2006.03.13 00:50:38
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