カテゴリ:猫
「女は数日帰ってこなかった。こんなことは以前にもあった。帰ってくれば、女はわびながら俺の機嫌を取り、食事をつくり、いそいそと寝床を整え、俺を迎え入れるのだった。
それが、今度は違う。帰っては来た。だのに、申し訳程度にしか挨拶もせず、食事もおざなり。俺の要求にびくびくするはずのあいつが、動かない。呼びかけても、気もそぞろに、意味もないことをつぶやいている。 いらだちはいつしか怒鳴り声となった。思い知らせようと強く叩いてもみた。しかし、女は、すまなそうな目をこちらにやって、小さくなっているばかりだ。 男か、という思いがかすめる。しかし、そうではなかった。女は、うごめく小さな生き物を、どこからか拾ってきていたのだった・・・」 子供が生まれてから2ヶ月経ちました。 今までで泣いたことが二回あったのだけれど、その一回は、黒猫のハチがらみ。今まで私のことを自分の女奴隷だと思ってたんでしょうね。私のすべてを支配していると思ってたし、実際、そうだった。それが、わけのわからない、高い声で泣きわめく動物にお株を奪われて・・・。 夜の授乳で動けないときに限って「わーん!わーん!!」と大きな声で叫びながら、私の周りをくるくる回って、抱き上げられることを要求するんです。しばらくは「ごめんね、ごめんね・・・」といいながら紛らわすのですが、そのうち猫の方は怒り狂っちゃって、「お゛ーーん!!」とか「ごーーん!!」とわめきだします。 そうすると今度はだんな君が怒り出して、クッションやスリッパを投げつける。猫はするりとかわして、バスルームへ潜り込み、エコーを効かせた大音響で「わおーん!!」とやる。だんなくんはほうきを持ち出して猫を追い立てる。・・・、と、こういう筋書き。 「猫はわからないんだよ」「かわいそうだよ」と言っても、だんな君は「ハチはもう長くない」とか「新しい家を探さなくちゃならない」なんて言う。 もう、ハチがかわいそうでかわいそうで、あれは赤ん坊を連れてきて2週間目くらいだったかな、ハチがあんまりひどく泣きわめくのに、私は立つこともできないで困っちゃって、泣いてしまいました。赤ちゃんだからしょうがないんだよと言ったって、わからないもんね。でも、ほんとにつらかった。 ちょうどだんな君のお父さんお母さんが来てるときだったけれど、私の泣いてるのが聞こえてたら「イウは産後鬱でヤバイかも!」と思ったかもしれません。いえ、赤ちゃんじゃなくって、猫だっだんです! いまだにハチは「嫉妬の黒猫」であります。 そんなにわがままに育てたせいだよ!なんて言わないでくださいね。猫は、わがままに甘やかされるために生まれてきてるんですから。 ナナの方もおもしろいことがあって、これはまた今度書きますが、ペットだってびっくりしますよね。赤ん坊に遭遇したら。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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