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喜寿から傘寿へ彷徨う日々

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2007年04月17日
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★ 言葉に鋭敏な感覚を持つ達人が『鈍感力』(集英社)という本を書いて、それが大当たりした。今や流行語になっている。流行作家・渡辺純一さんの造語だが、「鈍感と鈍感力はちがう。くよくよせずに鈍く生きよ」と、『文芸春秋』5月号に《「鈍感力」問答》なる一文を公表し追い打ちをかけている。
 渡辺さん本人が”鈍感”だったら、とてもこの造語で世間を賑わすことはなかっただろう。如何にも皮肉な話だ。
 かく申す爺ちゃんも、この一文を読みたくて、文春を買った。巧く乗せられたナ、と苦笑いしながら・・・

★ 「○○力」と言う言葉を使い始めたのは渡辺さんが最初ではない。私の記憶では、作家の赤瀬川原平さんが『老人力』(筑摩書房)を著して、少子高齢化で”大変だ”大合唱が始まっている中で、トシをとる衰えを肯定的に捉える感じの言葉として用いたのが最初だったと想う。例えば、「視力が弱って来て、眼鏡なしでは新聞、読めないよ。オレも老人力がついてきたものだ」などと、用いられるようになり、1998年流行語大賞をとった。

★ これに触発されて、「上司力」「部下力」「サラリーマン力」「主婦力」・・・・などと、若いサラリーマンが言葉もじりして大いに受けていたように思う。ただ、”老人力”と”○○力”は、言葉のニュアンスが随分、違う。
 ”老人力”はユーモアのある慣用語だが、派生類語の”○○力”は、「あるべき姿」の徳目を並べ立てるタテマエ論の陰険さがある。

★ 今度の「鈍感力」も同工異曲の「○○力」の一つにも思えるが、デビューのキッカケが少々、異なる。昨年暮れに、自民党幹事長室を訪ねた小泉純一郎前首相が内閣の支持率低下に悩む安倍内閣について「いちいち気にするな。鈍感力が大事」と助言したとの報道で一挙に世に広まった。私もそれまで、渡辺さんの本も、この言葉も全く知らなかったが、森元首相も大いにお気に入りのようで、その後、しきりと「政治家の鈍感力」を強調しているのを見て、【これは、新君主論の登場だ】と思ったものだった。

★ 安倍首相が、小泉前首相のこの一言で、急に高姿勢となり、教育基本法改正、国民投票法案を強行採決する、国会審議は、「子どもを生む機械」 「なんとか還元水」の各大臣をはじめ、「格差などない」など鈍感力を備えた政治家がいっぱいいる。この連中が”我が意を得たり”と、高姿勢を貫き始めた。一体、渡辺さんは、どんなつもりで『鈍感力』を著したのか? 政治家が、民意に鈍感になれ、では困る。

★ 漠とした興味・関心を抱いていたところへ、月刊文春5月号に当の渡辺さんが、自ら「鈍感力」問答の一文を公開しているのを知って、早速、読んで見た。面白かったのは、「皇室は鈍感力の世界1?」と見出しを付けた解説である。渡辺さんは一度だけ天皇陛下にお目にかかった経験があり、その状況を詳しく記しているが、その中に次の記述がある。

★ 係からお出ましの説明があり、「何時何分にこちらから陛下がお入りになる」 「一礼されますので、その時に礼を」 「壇上でご挨拶した後、皆さんの間を通り抜け、10分後に反対側のこちらの出口へ」 「出て行かれる時、もう一度振り返って礼をされるので、その時、礼を」 ・・・・そして、全くその通り、陛下は1分の狂いもなく正確に行動される。皇室は、時代の激動を乗り越えて現在に至る滔々たる歴史を築いてこられたが、何の意味もないことを正確にやり遂げる鈍感力によるものかもしれない。

★ 皇室にとって如何に”鈍感力”が必要か。なるほど! 古いしきたりで雁字搦めの一挙手一投足、さらに人に会う時の立ち居振る舞い、にこやかな造り顔・・・すべてが定められた通りに宮廷官僚が躾けた通りに正確に行動する。それをなんとも思わず行えるのは皇室の方々の”鈍感力”のおかげ、だと言うのである。なるほど、それなら良く分かる。雅子さまのご病気。お気の毒ながら、ご回復の唯一の処方箋は、”鈍感力”を身につけられるほかあるまい。

★ もう一つ、渡辺さんは、「もう一つ、注意して欲しい。最近の松岡農水相のように明らかな間違いを犯していながら居直っている政治家たちは、ただ図々しくて”鈍感”なだけのこと。この種の”鈍感”と”鈍感力”は全く違う。このことだけは、くれぐれも誤解なきよう」と区議を刺すが、その一方で、小泉前首相は”鈍感力”があった、と評価している。

★ 若い君たちに一言:
 やはりホンネは、こうと決めたら初心を貫く。権力者が心得るべき「新君主論」の提言だ。独裁容認論にも繋がる危険な主張だと思う。”鈍感力”と言う言葉には、これまでの「○○力」には無かった毒が含まれている。

★ 真に受けてはダメだよ。やはり民主主義は民意に鋭敏な政治家を求めねばならない。考えてもみてご覧。もし国民の大多数が皇室のような”鈍感力”を身につけたらどうなるか? 独裁政治家が思うままの機構をつくり、官僚が思うままに動かす。国民は、それに疑問すら抱かない。判断力さえ失ってしまう。恐ろしいことだ。





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Last updated  2007年04月17日 14時31分42秒
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