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カテゴリ:病気/ワクチン/医療
「イスラエルのブースター接種率はたった1.6%」とある保健省の公式データから受ける衝撃。……世界的に公表されていた、あのデータの数値は何だったのか?
2022年10月29日 ショックと違和感の中で イスラエルは、世界で最も早くコロナワクチンの大量接種に踏み切った国で、2021年1月 (日本でワクチン接種が始まる2ヶ月ほど前)には、すでに、 「イスラエルの 60歳以上の 90%が 1回目の接種を完了した」 と報告され、「最もワクチン接種に成功した国」として賞讃されました。 2021年3月には、イスラエルは、世界で初めてワクチンパスポート (グリーンパス)を発効しました。 「ワクチンを接種した人だけが、自由に行動できる」という条例を世界ではじめて可決したのです。 その後、2021年7月には、やはり世界で最初に「ブースター接種」が展開されたことが報じられていました。 当時のデータでは、2021年9月までには、イスラエルの人口 900万人のうち、300万人がブースター接種を受けたとと報じられました。 つまり、その時点で、全体の 30%程度が追加接種を受けていたのです。 ところが……。 最近のイスラエル保健省のコロナウイルス公式ダッシュボードによると、 「 3回目の接種を受けたイスラエル人は、全体の 1.6%に過ぎない」 ことが「公式に」示されていたのです。 これは、スウェーデンの報道でイスラエルの AI 専門家の発言が伝えられたことで知ったのですが、自分でもイスラエルのデータを確認したところ、以下のようになっていました。 イスラエルでは現在「完全なワクチン接種」は、3回目接種までを完了した場合に適用されますが、以下のグラフの一番濃い緑が「完全なワクチン接種」です。薄い緑は「期限切れ」、つまり、2回接種後に接種期限までに 3回目を打たなかった人の率です。 イスラエル保健省のコロナ公式データより datadashboard.health.gov.il この最新のデータでは、3回接種者は、1.6%台となっており、イスラエルでは「ほぼ誰もブースターを打っていない」ことがわかります。 「なんだこれ?」 と素直に思いました。 というのも、これはヘブライ語で発表されているイスラエル国内向けのデータですが、全体に公表されている「国際データ」は、こうではないのです。 たとえば、以前よく引用していました米ジョンスホプキンス大学のデータでは、現時点でも、50%を超えた数値が示されています。 比較のために、日本も加えています。 2022年10月27日までの日本とイスラエルのブースターの接種率 ourworldindata.org ここでは、日本が「99.1」という驚異的な数字になっていますが、これは、日本においては、4回目や 5回目などの接種も行われているからだと考えられます。ブースター全体としての、人口 100人あたりの接種率だと思われます。 イスラエルでも、高齢者に対して 4回目の接種を行っているとは思うのですが、しかし、先ほどのイスラエル保健省のデータのように、3回目を接種した人が全体の 2%以下だと、その人たちが、どれだけ繰り返して、たとえば、4回目、5回目と打ったとしても、 「こんな 56%などの数字にはならない」 です。 同時に、「この点でも、我々、嵌められた?」と、ふと思います。 我々、というのは曖昧なカテゴリーですが、つまり「イスラエル以外の西側諸国全部」です。 イスラエルが、大々的に先陣を切ってワクチン展開をスタートさせた後、世界中のマスメディアがこれを「大賞讃」しました。 そのうち、何だか知らないですが、次第に、 「どの国が最も早く、そして多くの人たちにワクチン接種をおこなえるか」 というような、変な争いにさえなっていきました。 「考慮するのは、そっちじゃねーだろ」 と、当時いつも思っていましたが、日本なども、あれよあれよと「世界最大のワクチン接種優等生国」となってしまいました。 2021年10月には、日本のワクチン接種率は、イスラエルを超えました。 ourworldindata.org 少なくとも、ファイザーワクチンに関しては、イスラエルがすべての先導を切り、そしてもそこに向けられた「賞讃」を獲得するための各国の(愚かな)ワクチン接種レースが始まったわけです。 そして、思い出すのは、ワクチン接種開始からしばらくして、メディアで「イスラエルではコロナ感染が収束し、もう誰もマスクもしていません」みたいな報道が多くなされていました(その後、イスラエルでは何度も激しい流行波が起こりますが、それは報じられませんでした)。 これらを思い出しますと、「全員がワクチンを接種すれば、パンデミックなんてすぐに終わる」という幻想は、イスラエルから世界に伝わったのでした。 実際、イスラエルも、2回目までは 60%程度の人たちが接種したことは先ほどのデータでもわかりますが、世界に公表されている数値とは異なり、3回目はほぼ誰も打っていない……という事実は、 「イスラエルという国家が、3回目接種を推奨しなかった」 ことが推定されます。 イスラエルは、今年 2月にワクチンバスポートを廃止しています。 ともあれ、世界的に公表されているデータでは、イスラエルは今も淡々とブースター接種政策を続けているというイメージがありましたが、 「イスラエルでは、もはやワクチン接種は基本的に終わった」 と考えるしかないようなデータが「イスラエル国内」では示されている。 いや、しかし……やはり奇妙な……。 というのも、たとえば、以下の記事では、イスラエル保健省のレポートから「ブースター接種での副作用」を分析したエルサレム・ヘブライ大学の上級講師の分析データをご紹介しています。 世界の出来事2113 「ファイザー社ブースター接種後の副作用の詳細データ」 この記事では、イスラエルのメジャーメディアであるエルサレムポストの 2021年8月8日の報道からも引用していますが、その見出しは、以下のようなものでした。 > 3回目のワクチン接種を受けた40万人以上のうち…(jpost.com) しかし、内容を今読み直しますと、この数値、本文では、以下のようになっていました。 3回目のワクチン接種を受けた 24万人のメンバーのうち…(jpost.com) 「なんで見出しと本文の数字が違う?」とは思いますが、しかし、どちらの数にしても、人口 900万人のイスラエルで、先ほどの数値の「 1.6%」からは、40万とか 24万人はならないです。 なんだか今、異常な違和感に見舞われていますが、もともとイスラエルは、ファイザー社に、「すべての接種後のデータを渡す」という取り決めの元で、世界で最初にコロナワクチンを取得しました。 「水……?」 というような単語も浮かび上がりますが、イスラエル保健省のデータが間違いでないのなら、すべてが「世界で認識されている事実と異なっている」ということになる可能性もあるのかもしれません。 そして、そのイスラエルに踊らされて、日本も韓国も台湾も、大変に高い接種率に至り、これらの国は、その後、どの国よりも高いブースター接種率を誇り今に至っています。 このような状態になるための「口火を切った」のがイスラエルのワクチン政策の「世界的な報道による喧伝」でした。 最初からやられちゃっていたのですかね……。 ともあれ、最初にこのことを知ったスウェーデンの報道をご紹介して締めさせていただきます。 現在、イスラエルで「完全にワクチン接種済み」と分類されているのは、人口全体のわずか 1.5% のみであることがわかる Endast 1,5 procent av israelerna klassas nu som ”fullvaccinerade” nyadagbladet.se 2022/10/28 コロナ危機の間、イスラエルは「世界で最もワクチン接種された国」として強調されていた。しかし、今日では、国の人口のわずか 1.5%しか「完全なワクチン接種を受けていない」と見なされている。 2021年1月9日の時点で、約 200万人のイスラエル人が Covid ワクチンを接種しており、同年 2月には、60歳以上のイスラエル人の少なくとも 90% がファイザー社ワクチンを少なくとも 1回接種していた。 また、イスラエルは、世界で初めて「ブースター接種」を提供した国の 1つであり、ワクチンの取り扱い例として世界的に称賛された。 ところが、イスラエルの AI 専門家で研究者のエリ・ダビド博士 (Dr. Eli David)は、今日の状況はまったく異なるように見えると述べている。イスラエルの保健当局によると、現在、「完全にワクチン接種を受けている」と見なされているのは、人口のわずかな少数のみだ。 ダビド氏は、「現在、完全なワクチン接種を受けていると見なされているのはイスラエル人の 1%台のみであり、残りはワクチン接種を受けていないか、有効期限が切れています」と述べている。 Dr. Eli David この記事の執筆時点で、イスラエル人の 1.51% が「ワクチン接種済み」、29.4% が「未接種」だった。 69.08% が最初の 2回のワクチン接種を受けていたが、なんとそのほとんどが割り当てられた時間内に追加接種を受けていない。 「ワクチン接種期限切れ」とは、 1) 2回以上のワクチン接種を受け、追加接種を受けるために割り当てられた時間が過ぎても別の接種が行われない人 2) コロナ感染から回復し、1回以上の予防接種を受けている人 として定義されている。 追加接種を受けるために割り当てられた時間が経過すると、ブースター接種を受けることはできない。 予防接種証明書(グリーンパス)の有効期限が切れておらず、推奨されるすべての注射を受けた人たちは、完全に予防接種を受けたと見なされる。 この証明書は、追加接種を行わない限り、2回目のワクチン接種から 6か月後に有効期限が切れる。その後、イスラエル当局は、新たに接種するたびにパスポートの有効期間が 6か月延長されるとした。 現在のイスラエルは基本的にすべてのコロナ制限を廃止し、さまざまな社会的機能へのアクセスを得るために証明書は不要になったことを付け加えておきたい。 言い換えれば、完全に予防接種を受けていない 98.5%のイスラエル人たちは、すでに生活上の何の制限も受ける必要はなくなっている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2022年11月09日 22時55分33秒
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