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長い急な階段を手すりにしがみ付きながら登る。以前は軽くかけ登れたのが、今では呻吟苦吟の行並みになっている。やっと頂上に到達し、肩でドアを開く。開くと7年ぶりの竹馬がいた。
「おー」と叫んでしがみ付いて来る。ハグなんて日本ではめったに起こらない愛情表現だ。頭の毛が薄くなっている。竹馬はこちらの丸坊主姿をじろりと眺め、 「坊主になったのか」 と真剣な尋ねてくる」 「単に暑いからさ」 とこちらの事情を説明する。電気バリカンは鏡を見ながら、簡単に丸坊主に出来る利便性がある。同じ竹馬と近くの小料理店に出かけ、弁当を食べる。最近著名な料理人を引きぬいたので、こましな弁当を突ける様になった。 彼は長年外交官と国際関係の仕事をしていて、米国人の奥さんと引退生活を米国の地方都市で過ごしている。今回は一人で日本に帰された。出戻りという分けだ。 時差ボケが激しくて、よく眠れないはぼやくので、近くの温泉に連れて行った。裏山を利用した外湯に浸かりながら、さり気無く一人になれば、日本に帰ってくればと誑し込む。うんうんと頷きながら、奴は心の半分は、米国にもそして残りは日本にあるらしい。魂が引き裂かれる想いで、分裂中になる。棄ててしまえとは口に出さなかったが、竹馬の友は悪友が多いのも事実だ・・・ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2024.05.19 18:59:49
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