漫望のなんでもかんでも

2012/05/05(土)01:31

ちひろ展を見た

 5月4日、兵庫県立美術館で開催中の「岩崎ちひろ展」を観に行った。 画集も数冊持っているし、「デカブリストの妻たち」「万葉の歌」も手元にある。毎年カレンダーも購入して楽しんでいる。 それでもまだまだ目にしていない作品が多い。初期の作品が多く展示してあったのは嬉しいことであった。 「雪の女王とカイ」は、印象に残った。 ちひろの作品は、ちょっとおしゃまな女の子、元気な男の子たち、可愛いとしか言いようがない赤ちゃんの絵で満ち溢れている。割烹着のお母さんは清楚な雰囲気を漂わせている。 ずっとそういう作品に接してきて、「戦火の中の子供たち」を見た時、自分たちの暮らしに襲い掛かる理不尽なものに対する憎しみをあらわにした表情を見た時にショックを受けた。 美しいもの、可愛いもの、平凡な、しかし豊かな生活を描いてきたちひろにして初めて描けた表情なんだとその時に気が付いた。 「人格」の定義として、「何を美しいとし、醜いとするか、何を愛し、何を憎むかが人格というものの核心をなしている」という一文を目にしたことがある。 本当にそうなのだと今日は改めて思った。 ゆっくり絵を眺めながら歩んでいると、後ろの方から以下のような会話が聞こえてきた。 「私の家、ずっと『子どもの幸せ』をとってて、その表紙は全部保存してあったの。でね、小さな私がふすまなんかに穴をあけちゃうと、そこに貼ったりしてたから、家の中にはちひろさんの絵がいっぱいあった。」 いい話が耳に入ってきた。気持ちが明るくなった。

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