雨の国立
第85回全国高校サッカー選手権大会準決勝2試合が、土砂降りの雨の中、国立競技場にて行われた。第1試合 作陽(岡山)1-0神村学園(鹿児島)第2試合 盛岡商(岩手)1【OG】-0八千代(千葉)スリッピーなんてもんじゃ無い。観客席の階段通路は滝のように雨が流れ落ち、ピッチ全体が水溜り状態の中での激しい攻防だった。ボールが転がらないので繋ぐサッカーから、ロングパスを中心に試合は進むがどのチームの選手たちも転倒しまくりだった。このような悪天候の中でのゲームは、往々にしてセットプレーから得点が生まれやすい。案の定、第1試合は作陽のFKからのセンタリングをヘッドで捻じ込み、神村GKが一旦弾いたそのこぼれ球に対して、寄せていた作陽キャプテンの石崎君が右足で押し込み唯一の得点となった。2試合目も、1試合目と全く同じような流れである。やや盛岡商のほうが有利に推し進めていたが、これも膠着状態の中、後半終了。2分のLT表示だが、決着が付かねばPK戦へと縺れ込む。そしてその瞬間はやってきた。八千代ゴール前での混戦の中、盛岡の選手が放ったシュートに反応したGK植田君。すかさずパンチングするも、ボールは前方へクリア出来ずに植田君の膝へ。そのボールは無常にも自陣ゴールネットを揺らす事に…ロスタイム1分30秒の瞬間のまさかの出来事に、終了後の植田君の姿を見るのはとても辛かった。しかし、これもサッカー!今夜、彼は眠れる事の無い夜を迎えることになるかも知れないが、決して悔やまないで欲しい。月並みなコトバだが、この経験を糧にして更に大きくなってもらいたい。さて、明後日の決勝戦は作陽・盛岡商の対戦となるがどちらが栄冠を手にしても初優勝である。作陽の野村監督が言っていたように、ここ1,2年でサッカー部は急成長を遂げ、今まさに進化中である。かたや盛岡は先制点を取られなければ大いにチャンスがある。中一日あきはするが、高校生と言えども連戦による疲れは残っているだろう。ゆっくりと明日はして少しでも疲れを癒してもらいたい。そして8日は全国無数にある高校サッカー部の頂点を目指し、堂々と溌剌とした戦いを期待したい。