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日常のニュースからひも解く自らの視点

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村松克哉

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2006年07月12日
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やはり予想通り、日本政府が振り上げた拳は下ろすこともできず、腑抜けになりつつある。肝心の米国が中国を使って北朝鮮を六カ国協議の場に引きずり出す方向に傾いたからである。あれほど麻生外相がこだわっていた国連での制裁決議を10日に採決することも延期され、韓国、中国、ロシアが経済制裁決議に反対にまわり、豪州、東南アジアが「安く石炭を売りますから6カ国協議に出てほしい」と提案し、北朝鮮を説得する動きに出ているのは、逆に感情的になりすぎている日本を孤立させるかたちで世界に浮き彫りとなっている。日本以外のアジア諸国は「中国に頑張ってもらい、これに他のアジア諸国も協力し、6カ国協議で問題を解決する」という姿勢に傾いている。アメリカも、この姿勢である。日本は、日米同盟の強化を願って、北朝鮮に対する強硬姿勢をとっているが、この日本の姿勢を利用してアメリカは、日本の願いとは逆に、中国中心のアジア諸国の自立した動きによって、朝鮮半島の問題を解決する新体制を作ろうとしている。中国の外交努力が成功したら、その後の朝鮮半島は、中国と韓国、ロシア、北朝鮮という当事者間の話し合いで動いていくようになる。アメリカは、東アジアおける国際体制の多極化を容認する度合いを強める。日米同盟強化のための日本の強行策は、結果的に、日米同盟の空洞化を進めることになりかねない。このような展開を食い止めようと、日本が強硬姿勢を激化させたら、アメリカはそれを支持し続ける。たぶん最後まで、日本を制止するようなことはしない。アメリカのネオコンやタカ派は、日本の強硬姿勢を大歓迎するだろう。しかし、そこには罠がある。アジア周辺諸国は、日本に対する批判的な姿勢を強め、日本抜きでアジアの問題を解決していく体制を作るようになる。アメリカは、二枚舌的に、このアジア独自の問題解決体制に対して「アメリカの負担軽減になる」と言って歓迎
する姿勢を見せるだろう。そしてアメリカは、アジアが独自に問題を解決できるようになったところで、アジアに対する影響力の行使を減らしていく。「これからもずっと日本の味方です」と言いながら、静かに日本からも米軍を引き揚げる。窮した日本が「これから日本はどうやって生きていけばいいのですか」とアメリカに相談すると「中国や韓国と仲良くしたら良いのではないですか。中韓も、日本との関係強化を望んでいるようですよ」と、おだやかに示唆される。私には、そのような展開の可能性が、日々強まっているように見える。日本が、自国に不利な結果を招きたくないと考えるなら、対米関係だけに賭けず、オーストラリアやシンガポールのように、アメリカと、中国中心に自立しつつあるアジアとの両方を向いた、両建ての戦略を採った方が良い。日本が両建ての戦略を採っても、アメリカは十分容認してくれるはずである。両建ての戦略を採る場合、北朝鮮の問題に対しては、6カ国協議の再開を最重視することになるので、日本と中国の方針は、同じ方向性になる。北朝鮮は、制裁によって経済的に行き詰まったら、日米などに戦争を仕掛けてくるかもしれないが、実際に戦争になって最も損をするのは、戦時体制が得意な北朝鮮の方ではない。情勢安定を前提に経済発展することが最重要課題になっている韓国や日本の方である。結局、北朝鮮問題の解決の方法は、米朝の直接交渉か、中国主導の6カ国協議しかない。日本政府は国益をみて、外交をしているとは思えない。これほどまでに感情的になり、国民を犠牲にしようとしている日本政府を国家だと信じると先の戦争の二の舞になりかねない。拉致や各開発問題を感情的に処理しようとすることが国益にも何にもならず破滅の道を進むということは明らかである。









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最終更新日  2006年07月12日 10時13分13秒
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