”しゃぼん玉” 乃南アサ
先週買った”しゃぼん玉”という題名の文庫本。新刊コーナーに置いてありました。(新しい物好きなのです。私って・・・)純粋すぎる恋愛物や、SFX的なもの、現実味のなさ過ぎるもの、軽過ぎる物は自分的には、避けたいので、まず裏に書いてあるあらすじを読んでみました。”女性や老人だけを狙った通り魔や強盗殺害を繰り返し、自暴自棄な逃避行を続けていた伊豆見翔人は、宮崎の山深い村で、老婆と出会った。翔人を彼女の孫と勘違いした村人たちは、あれこれと世話を焼き、山仕事や祭りの準備にもかり出すようになった。卑劣な狂犬、翔人の自堕落で猛り狂った心を村人たちは優しく包み込むのだが・・・”と書いてある。2日間で読み終えました。面白い本だと、つい夢中になって読んでしまいます彼は、最初のうちは、常に人を自分が金を手に入れるための道具のようにしか思っていないようで、その卑劣極まりなさには、時折私もムカつきました。でも、彼は、幼い頃から両親の自分本位な生き様に、心を閉ざした哀れな青年でした。真の愛情、労働する事の爽快感。人から必要とされる事。こういう感情を少しづつ知っていって、変わっていく彼を、そして田舎のあったかさを感じたラストの場面辺りでは、感動で涙が出てきました。今の世の中、近親者を殺害したり、誰でもいいから・・・といった心無い犯罪などが多くあっていますが、そういう人間を育ててきた環境というものにも原因するところが、あるのかもしれません(だからといって犯罪者を必要以上に擁護する事を、良しと思っているわけではありませんが・・・)人を無償で愛する気持ち、思う気持ち、いたわる気持ち、思いやる気持ち。今の殺伐とした世の中だからこそ、常に持ち続けていたいものです。少し年をとってきたせいかも知れないですけど、最近はきれいな心持で生きていくこと、人との関わりを大事にする事、自分で出来る善行を、少しづつ取り組んでいく事を自分の中で心がけていますTVのニュースで、嫌な犯罪を聞く日が少なくなっていくことを願っています。