【ネタバレ】「屍者の帝国」原作の感想/わーいイギリスだー!と思ったのに…
いつの間にか映画やってた!
取り急ぎ感想をウプします。
屍者の帝国 [ 伊藤計劃 ]
なんか伊藤計劃、はやってますね。
このブログも「ハーモニー」の感想が閲覧上位。
計劃作品は映像化にすごい向いてる、ビジュアルにすると映える作品だと思うので、今回の映像化は楽しみです。
ちょうど同時期に短編集も読んだんだけど、こっちも読むとこの「屍者の帝国」もわかりやすくなると思いますよ。
The Indifference Engine [ 伊藤計劃 ]
「屍者の帝国」わけわからんって方は、こっち読むといいかも。
私は、「The Indifference Engine」→「屍者の帝国」って順番に読んだら、わかりやすかったです。
なんでかって言うとネタバレになるんで、後で書きますね。
多分、わざわざ「屍者の帝国」読む方は知ってると思いますが、この話は、伊藤計劃が序章を書いたところで絶筆され、生前親交の深かった円城塔が続きを書く形で完成されました。
序章がかなりかっこいいのですよ。
これぞ中二って感じで(^_^;)。
倫敦(ロンドン)ですよ!
ガス燈ですよ!
馬車ですよ!
スチームパンクってやつですか(詳しくないですが)。
円城塔さんも頑張って書いてますが、ちょっと中二成分は減っちゃったかな(えらそうにゴメン)。
私ゃ、そんなにたくさん円城作品(円作品?)読んでませんが、賢そうな文がぐるぐる回って混乱させるような作風だったような。
それに比べたら、頑張ってわかりやすく書いてくれてるかな〜。
やっぱわかりにくいな〜。
ちょっと神林長平っぽいかな〜。
以下ネタバレ。
(「The Indifference Engine」のネタバレもありますよ!)
【追記】
(「The Indifference Engine」のネタバレではなく、その短編集の中の「From the Nothing,With Love」のネタバレです)
(勢い余って「ハーモニー」のネタバレもしてました!)
Mってマイクロフトだったんだー!
な、なんだってー!
(^_^;)
っていう、まさかの「シャーロック・ホームズ」と「007」のクロスオーバーですよ!
イギリスものだー!ウヒョー!っと期待したら、陰謀を追って世界横断ウルトラ旅行、あんまりイギリス出なかった!
ここらへんは「007」オマージュなんですかね。
(最後はロンドン帰ってきますけど)
他にも、「フランケンシュタイン」「ドラキュラ」「カラマーゾフの兄弟」「風と共に去りぬ」とかが、同時に実在していた世界線の話。
更には、「フランケンシュタイン」の実験が実際に行われて成功していた→屍者復活技術が完成されているという世界。
「屍者」には、プログラムをインストールして決まった仕事をさせる、馭者とか兵隊とか、つまり奴隷ロボット。
映画でよく見る設定ではなく、本来の意味での「ゾンビ」。
ただし、兵隊としては、敵味方の区別を認識させるのが難しく、プログラム書き換えたらすぐ寝返っちゃうから案外使いにくいっていう。
単純な作業しかできないのがネック。でも記憶する、計算する、は得意。コンピュータ的。
怪我しても痛みを感じず、なかなか死なない、じゃなくて機能停止しない。
呼吸してないからしゃべることはできない。
一つ気になったのは、女性の屍者の存在にすごく驚いたシーンがあったのに、伏線かと思ったら特に言及されずに終わったこと。
女性の屍者はなんで珍しいの?
技術的な問題?
倫理的な問題?
女には魂がないと思われてたなら残念(^_^;)。
(魂のある人間以外の動物は屍者復活できないという設定)
ほんでいつものアレ、「魂」とか「意識」とか「自我」ってなんなん?、人間本来のものちゃうんちゃう?、なくてもええんちゃう?、みたいないつものテーマなんすよ。
もう「The Indifference Engine」にまんま同じテーマの話があって、そっちの方がよりかみ砕いて書いててわかりやすいかな。
で、正直もう食傷気味でして(^_^;)。
またか(^_^;)。
「ハーモニー」でもやったやんそれ。
伊藤計劃さんはよっぽどこのテーマ好きなんやなあ。
元祖「フランケンシュタイン」のモンスターであるところの「ザ・ワン」さんが言うところによると、「意識」は脳に寄生というか共生してる「菌株」の作用であると。
「菌株」に直接語りかける方法が発見されて「屍者」が作れる。
てゆーか、「屍者」用の「菌株」さんも脳の中におって、その「菌株」の活性化?みたいな?
で、ばんばん「屍者」復活させてたら、普通の生者の中の屍者用「菌株」も活性化しそうで、全生者が屍者化しそうで、世界が危ない!
みたいな?(^_^;)
でも「ザ・ワン」さんは、世界を救うんだよーみたいなことを言ってジョン達を焚きつけたけど、結局昔の死んだ?(てゆーか元から死んでる)恋人を復活させただけ?
ヘルシングさん曰く、「菌株なんてそんな与太話信じたのかね?pgr」
えっ、ウソやったん?
とですねー、物語内の真実があやふやで、神林長平みたいだなっと思いました(小並感)。
「菌株」って「言葉」と言い換えてもいいのではないかね、なーんて言い出すからますます神林長平っぽい(^_^;)。
でも「菌株」の結晶?という青い石は、存在するわけで。
「言葉」って結晶化すんのかしら?
結局、ジョンは秘密を知り過ぎたから処分されそうになったんだけど、青い石と同化することで、自分自身が最高機密被験体となり生き延びることになった?
みたいな?
みたいな?が多くてすみませんけど(^_^;)、あまりはっきり言わない作風で、ぼーっとしてるとこちらの理解力が及びません(^_^;)。
えっと、青い石と同化すると、今のジョンの意識は多分消えて、屍者化するか、生者と屍者の中間的な存在になるか、「菌株」自体の意識が顕在化するとか、案外変わらなかったりして、、、ていう何が起こるかわからん危険な実験なのに、なんかジョンはしちゃうんですね。
科学者としての好奇心か、命乞いか、自我が残る可能性に賭けるのか、あるいは贖罪か、、、。
以降、青い石と同化したジョンはシャーロックと組んで、探偵助手兼筆記者となる。
「屍者の帝国」では才気走って賢い強いワトソンなのに、「シャーロック・ホームズ」のジョン・ワトソンがちょっぴり間抜けなのは、青い石と同化したからだったのかー!ていう
な、なんだってー!
(^_^;)
Mがジョンを保護するためにシャーロックと組ませたのかなーっていう、見事なオチで終わりました。
「カラマーゾフの兄弟」だけ全く知らなくて、wiki読んでもよくわからなくて、知ってたらもっと面白いんですかね?
教養の試されるお話でした。
【追記】
ハダリーの元ネタが「未来のイブ」だなんて!
知ってたら、名前だけでネタバレだったのに、素直に「この人自閉傾向のサヴァンなんだー」なんて思っちゃってましたよ!
「未来のイブ」はタイトルしか知らんなあ。
教養がないのがバレるorz
ワトソンの最後が映画版では違ってるみたいですね。(映画は未見)
映画ではワトソンが屍者になった?ようなはっきりしてないそうで。
小説では、秘密を知りすぎて処分(暗殺)されそうになって、それくらいなら自分に非結晶体入れて人体実験しようってなったんだわ。
そうすることによって、いわゆる喋らんしプログラム以外反応せーへん普通の屍者ではなく、
見た目は変わらんけど意識がなくなって反応だけの「哲学的ゾンビ」になるんじゃねーの、
それっぽい受け答えはできるけど人間と屍者の区別も付かなくなるんじゃねーの、
つまり人間っぽい屍者になるんじゃねーの、ってなって。
だから、「シャーロックホームズの冒険」を執筆したワトソンになるんかー。
っていうすごく腑に落ちるラストでしたよ!
ほんでフライデーはジェームズ・ボンドになるのー?
イメージあまりに違うくなーい?(^_^;)
と思ったけど、バンコラン(byパタリロ!)も小さいころは根アカで笑い上戸だったけど、少年期は無口で陰気に、更に大人になったらハードボイルド件プレイボーイになったから、ありなんでしょうか(^_^;)
あ、かっこよかった時のワトソンの模倣したんかもって考えるとラブがあっていいね!(^_^;)
(プレイボーイ要素がどこからか謎だけど)
(追記)
映画観ました。感想はこちら↓
【ネタバレ】映画「屍者の帝国」の感想/死んでたら何してもいいのかよ
関連項目【ネタバレ】伊藤計劃「ハーモニー」
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