刀剣美術11月号鑑定所感
先月引いた風邪が一向に快方に向かわず、体力の低下を実感しております。ブログの更新も思うに任せず、ご心配をかけ申し訳ありません。風邪は万病の元とも言いますから充分に養生したいと思っています。それでは締切日も過ぎて大分経ちますが、刀剣美術11月号の私の鑑定所感を申し述べます。 体配【身幅やや広めに寸延び、重ね厚く、僅かに内反り】などから、時代は鎌倉末期と判断しました。地鉄細やかに、地沸厚く付き、沸映り立つところから、山城物であろうと推測しました。時代や銘が三字銘であるところから、来国光か来国次のどちらかに絞り込みました。地鉄に独特の肌合いが表れる事も【来肌】を想起させます。来国次は、相州正宗の弟子とも伝えられているように沸が強く、相州伝を思わせる出来が多いように思います。この短刀は乱れてはいますが、相州伝を思わせるようなところはあまり見出せません。又、来国次については残されている物も少ないように思われます。この出題刀のような、山城伝で大振りの短刀と言うことになれば 【来国光】 と入札するのが妥当な気がしています。従がって今回は 【来国光】 と入札しました。前回は備中守康広でした。