リーインカーネーション

「リーインカーネーション」ってな言葉をご存知だろうか？ そう、「生まれ変わり」のことだ。スピリチュアルやオカルト、あるいは何かの経典などでおなじみ、「死んでもそれっきり無になるんじゃない。あの世（でも天国でもいいけど）で準備をして再びこの世に生まれてくる。その繰り返し。魂は不滅なのだ」ってやつだね。 真理なのか、それとも死を恐れぬようにとの気休めなのかはわからない。 が、この世には生まれ変わりの実例が、確かにあるのである。 それどころか、あなた、今これを読んでいるあなたも、その実例を見たり、聞いたり、体験したことがあるハズなのである。 実例、すなわち携帯電話の機種変更だ。 古くなったり飽きたり付き合いだったりと、もろもろの事情で今持ってる携帯を機種変更するとき、あなたはリーインカーネーションを目の当たりにするのである！ 電話番号という魂を、古いボディから新しいそれへと移植する。過去の記録（記憶）を抱えたまま別な体に“生まれ変わる”。 携帯ショップはまさにあの世。そこで機種変更をする店員は神様か天使か、だ。最近売りとなっているMNP（モバイル・ナンバー・ポータビリティ）は、さしずめ国をまたがった生まれ変わりといったところか。 新しい携帯に電源を入れる。♪ハッピーバースディトゥユー♪見慣れない画面が展開し最初は戸惑うが、やがてそれまでの体とさほど扱い方に違いがないと気付き、徐々に使いこなす。 そしてまた、古くなったり不慮の事故で思うように体が動かなくなると、またあの世に一旦魂を返し、再び新しいボディを…。 あぁ、これを生まれ変わりと言わずに何と言うか、だ。ハイテク技術の最先端をゆく携帯電話が、実はこんなオカルトの世界に支配されていたのである。 それともなんだろう…「この世のすべてはあの世の模造」「あの世で起きたことはすべてこの世でも起こるものだ」なんて説もあるくらいだから、現実に魂の生まれ変わりもある、ってことなのか…？ ついこないだ機種変更してワンセグ・デビューした自分の携帯をながめながら…。