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積  乱  雲

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ローリエ・K

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2017.03.07
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カテゴリ:思索



庭に春一番のクロッカスが咲いた。春がきましたね~。

先週から不覚にも風邪をひいてしまった。
今年初めての風邪だ。
風邪といっても風邪の入口の入口みたいな緊張と淡の量で、速攻頓服を始め、めでたく収束モードになった。

体調変化は一人ひとりのセンサーで察知するものだが、原因が様々でもその人の弱いところに現れる。
私は緊張だし、頭痛や腰痛、はたまた、弟などは注意力が散漫になって行動の強さが変化する。

近頃は何事も予防が大切で、ひどくなる前に手当をするのが流行っている。
おかげで何でもかんでも、あらゆるリスクを想定して対策を取ろうとすることも多い。
日頃の備えは大切だし、防災のように危険を想定しておくのは安心につながるだろう。

それでも、少し方向がずれると、全てを心配しすぎて、考えすぎて、周囲が危険だらけになってしまい、それだけでくたびれてしまう。案外これは、弟の考え方でもある。
心配ごとはある程度で手を打つのが懸命だ。
全ての危険に一斉に降りかかる確率はだいぶ低い。

なんだけど、そういう私も体調レベルが低い時代は、ほんの少しの淡や呼吸の変化があっという間に肺炎になって命にかかわったし、対応が遅れると大きな波になって回復にも時間がかかった。
元気になるとつい、そういうことを忘れるけれど、おかげで体調チェックのメモリが何段階にも細かくできたし、時々振り返ってメンテナンスしたりすることもできる。

おかげさまで、私には対応策がその都度増えて安心も増えているということだ。

色と黒の間にはとてつもなく広いグレーの河が流れている。
グレーゾーンというとなんだかはっきりしなくて、じつにあやしい感じがするものだ。
なんでもとりあえずグレー、ってことでお茶を濁すこともある。

それでも、一人ひとりのグレーゾーンに近づいてよく観察してみると、濃いめのグレーがちょっと薄くなる段階が見えたりするものだ。
ものごとをいつもザックリしか見ない人には全部一色だろう。
細部にこだわる人の川幅はとても広いかもしれない。

見方しだいで物事は同に出も見える。
鳥の目、虫の目は誰にでもあるに違いないが、色々なスケールの人が力を合わせて一つのことを観察すればするほど、いろいろな景色も見えてくる。

私の淡はいつも微細な兆候の始まりだけれど、父の目、母の目は全然違う。
ザックリの母は今回はのんきだったけれど、痰と呼吸音にうるさい父のリスク管理が正解だった。
まあ、風邪の原因は父からうつったんだけど。早く対応してもらったから許すとしよう。
最後に病院で先生に判定してもらって仕上げの薬を飲み始めた。

弟にはこの春の季節が微細なセンサーをフル回転させてグレーの幅を広く渡る季節なのだ。

クロッカスが咲いたその日がくるまでに、じわじわと気温や水、光の条件が変化させてきたのだ。
目に見える現象を包む広い周囲の見えない世界を感じ取るセンサーを磨いたり休ませたり、電源を入れたり切ったりしながら、私たちは生きているんだな。

みんながいろいろな感度のアンテナを働かせているだけに、ぴぴぴ、と響き合うとすごくうれしいのだと思う。クロッカスが咲いて、だからうれしい。





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Last updated  2017.03.07 09:11:10
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