黒澤ブーム?
先日放映された、テレビ版「天国と地獄」を見た。 黒澤版と別次元の作品と思ってはいたが酷すぎる。 映画「天国と地獄」は好きな作品だが、一箇所だけ、あれっと思う所がある。 捜査側が犯人を泳がし、それだけなら良いんだが、犯人に犯罪を再現させようとする。 それで犯人が別の殺人を犯してしまう。この映画が製作された1963年の法律では 誘拐に関する処罰が軽すぎる。その事への黒沢の怒りがこのシーンを作ったと聞いている。 これはこの時代を考えてもおかしいと思う。 (この映画以後、誘拐に関する法律が大きく変わった) 誘拐・電話での脅迫・捜査と舞台劇をおもわせる前半。 特急を利用しての身代金の受け渡し、子供の生還、刑事たちの捜査、被害者の苦悩と サスペンスたっぷりの見事な展開の後半。文句なしの見事な映画。 それだけに残念でならないのが、「竹内、これでお前は死刑だ!」と 犯人逮捕の瞬間に叫ぶ刑事の姿です。これはいくらなんでも、あってはならないと思う。 テレビ版にも当然のように、このシーンが出てくる。 法律も変わった現在では、違和感どころか、こんな捜査は酷すぎると思う。 良い悪いは別として、裁くのは裁判官であって刑事ではない。 さすがにもう一つの殺人は描く事はなかったが、映画と同じセリフもちゃんとある。 このテレビ版には、笑ってしまったシーンもある。 ラスト近く、犯人を尾行する刑事、それも7,8人はいたと思う。 観光地を歩いている犯人の直ぐ後ろを、 黒いスーツ姿の男(一人女性もいる)達が尾行する。 中には耳にレシーバーを入れている者もいる。 これだけの犯罪を計画、実行した犯人がこれに気づかない訳が無い。 事実、時々後ろを見ていたりしている。これは子供でも分る筈。 その後のオルゴールを買うシーンも同様です。 こんな事では黒澤さんに失礼です。 他にも色々ありますが、リメイクはこんな物でしょう。 映画はやはり時代が生きています。 今、この映画をリメイクするなら、思い切った改変をやらなければ駄目でしょう。 金額を変えただけでは駄目でしょう。 翌日の「生きる」は、見ることを止めました。 この後、黒澤脚本をそのまま使った「椿三十郎」が公開される。 何度も云いますが学芸会になっていない事を、祈っています。 リメイクするくらいなら、黒澤さんの元の映画を劇場公開して下さい。 それが一番ですよ東宝さん! ***映画ブログに参加しています。*** ***良かったら1日1回押してやって下さい。***