秘密の道をぬけて
ロニー・ショッターの児童書で、どうやら2005年の 秘密の道をぬけて 課題図書(中学生)だったようです。ただ、ページ数やら内容を考えると、小学校中学年から高学年位でも十分に読むことができると思います。 怖い本を読んだ後、ろうそくを吹き消したアマンダは、夜遅い時間にもかかわらず、馬のいななきや、人の声がすることに気づいた。おそるおそるベッドから抜け出し、階段を下りて外に出ると、父親と知らない男の人が荷台の麻袋や樽を降ろしていた。その側には母親もいて・・・わたしは夢を見てるの?麻袋が二つ、むっくりと立ち上がり、もぞもぞと動きはじめて・・・!あれはお化けだ!お化けが踊りだしたんだ!!「お母さん!」「静に!」父親がそうささやくと同時に、袋の中から糖蜜のような茶色の肌をした女の人が出てきた。腕の中には小さな赤ちゃんが。そして、もう一つの袋からは、アマンダと同じ年頃のやせたのっぽの女の子が飛び出してきて、女の人に抱きついた。最後に、黒くて背の高い男の人が、樽の中出てきて・・・開かずの扉のクローゼットに隠された秘密の部屋に、秘密のトンネル。<地下鉄道>については、別の作者のコージーミステリーにも出てきた(そのときは海上ルート)ので、なんとなく知ってはいました。南北戦争を扱ったヒストリカルにも、たまに出てくるしね。そして、悪しき法律から逃れる人達を、わが身の危険も省みずに助ける善意の人々の物語は、人種差別や人権について、そして人の善意と悪意について考えさせられます。ただ、読んでいてちょっと引っかかることが。こういうことをし続けてきたはずの両親の、思慮・配慮がどう考えても浅く足りない気がしてならんのよ・・・アマンダに見つかるまでは、ずっと秘密にしていたんでしょ??なのに、何であんなにあっさりと子供の前に秘密をさらすかネェ。子供がトラブルの元になることなんて、火を見るよりも明らかでしょ??おまけに、そんときにしゃべらなくっても、後でべらべらしゃべるのが子供なんだから、少なくとも幼い弟君には内緒と思うのはわたしだけ??そして、登場人物の中で一番興味深いのは、悪役にしか思えない登場をしたミーカー巡査。彼は巡査としての仕事をしなければなりません。そしてそれは当然ながら法律に基づいておこなわれるべきものです。でも、だからと言って、彼がその法律を正しいと思っているのかは別なのかもしれません。もしかしたら、見逃すことができるならそうしたいと思っているのかもしれません。そこらへんの事情は最後までわからないように書かれていましたが、なんでしょう、すべて彼の配慮があったからこその、めでたしめでたしな気がするのよね。