DR. きぎ こういち のレトリート          (RETREAT)

2010/11/09(火)19:31

リンチ症候群

医学(2070)

  遺伝性の癌は、50種類ほどあります。その中でもっとも頻度が高いのがリンチ症候群です。リンチとはこの病気の概念を確立した米国人医師の名です。大腸がんや子宮内膜、卵巣、胃、小腸、腎盂・尿管がんなどの発症リスクが高まる疾患です。全大腸がんの5%程度がリンチ症候群と考えられています。 リンチ症候群は、大腸がんの若年発症、異時性あるいは同時性の大腸多発がんおよび多臓器がんの発症が特徴です。リンチ症候群の平均発症年齢は43-45歳と考えられ、20歳未満での発症は比較的少数です。  リンチ症候群の遺伝子変異を持つ人では、約80%が生涯の間に大腸がんを発症すると報告されています。また、女性では、20-60%が生涯に子宮体がんを発症するとされています。 アムステルダム基準(1999年) 1.家系内に少なくとも3名のリンチ症候群に関連した腫瘍(大腸がん、子宮がん、小腸がん、尿管あるいは腎盂のがん)が認められること 2.そのうちの1名は他の2名に対して第一度近親者(親、子、兄弟)であること 3.少なくとも2世代にわたって発症していること 4.少なくとも1名は50歳未満で診断されていること 5.家族性大腸ポリポーシスが除外されていること 6.腫瘍の組織学的診断が確認されていること

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