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君の世界が終わるまで

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2006.01.28
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カテゴリ:BLEACH-妄想-
「なぁ、地獄蝶って死神だけが扱えンだよな?」

現世より死者が住まう世界、尸魂界へとやって来た一護は自分を連れてきてくれた死神、恋次に唐突にそう訪ねた。

「ああ。まぁ死神の中にも地獄蝶を上手く扱えない奴はいるけどな。」
「ふーん。」
「緊急の連絡や現世とコッチの行き来のために地獄蝶が必要になるから護廷十三隊に入隊したらまず地獄蝶の世話役から任せられるンだ。それが出来なきゃいつまで経っても平隊員ってこった。」

そんな話をしながら二人は護廷十三隊の各隊詰所である屋敷を歩き六番隊隊舎へと向かった。
時折、黒い揚羽蝶がヒラヒラと自由に舞い踊っているのを一護は何気なく見ていた。

「うわぁっっ!!」

と。
六番隊隊舎へ着くと突然慌てた声が一護と恋次の耳に届いた。

「あーん?あの声は‥‥」
「何だ?行ってみようゼ、恋次。」
「ああ。」

足早に声のした方へと向かうと一人の死神が何かを追い掛け回すように部屋の中をバタバタと駆け回っていた。

「コラァ、籠に入ってくれよォ!ホラホラこっちには可愛い女の子がいるよ。ハァイ☆私ジェニファー。魚座の‥‥」
「何やってンだテメェはっ!!」
「どわァァァッッ!!」

蝶のハリボテを持って部屋を駆け巡っていた死神の背中を恋次が思い切り蹴る。
その死神は勢い良く前に倒れこんだ。

「また同じパターンで地獄蝶を誘い込んでンのか。いい加減世話出来るようになれ、理吉。」
「恋次さん!っと、一護さんお久しぶりです!!」
「オッス。」

どうやらその部屋は地獄蝶が管理されている部屋らしく、理吉はまさに世話をしていた所だった。

「この子達いつまで経っても俺に懐いてくれないンすよォ。」
「バーカ。お前がしっかりしてねぇからだろ。懐かせるンじゃなくて従わせるンだよ。」
「そんなこと言ってもォォ‥‥」

ヒラヒラと部屋の中を自由に飛び回る地獄蝶。
一護はそんな蝶をじっと見ていた。
窓を横切る時の黒揚羽は太陽の光がその羽根の麟粉に反射してまるで輝いているようだった。
美しく、舞い踊る地獄蝶。
一護はその地獄蝶に向かって手を伸ばした。人差し指だけを差し出す形で。

「ほら、来いよ。」
「あ?何言ってンだ、一‥‥」

フワリ、と地獄蝶は差し出されたその指に止まった。

「わっ‥一護さん凄い!!一護さんの指に地獄蝶が止まった!!」
「お。本当に止まりやがったコイツ。可愛いな。」

地獄蝶は一護の指から再び飛び立つと一護の周りをヒラヒラと舞い始めた。
疲れると一護の肩で羽根を休め、また一護の周りを飛び回る。
どうやらスッカリ地獄蝶は一護を気に入ってしまったようだ。

「初めて会った一護がこれだけ好かれてンのに、立つ瀬ねぇな理吉。」
「酷いッスよォ、恋次さんっ!」
「なぁ恋次。コイツ俺が飼っても良いか?」
「あぁっ?!」
「だってよ、今までコッチ来るときは必ず誰かが迎えに来てくれンじゃん?何かわざわざ悪ィなーって思うし、突然来たくなることだってあるかもしれねーしよ。俺だって死神だから地獄蝶使ってコッチとアッチ行き来出来るンだろ?」
「ああ、そりゃそーだが‥‥」
「そーゆうのが掟でダメだって言うなら仕方ねぇけど、大丈夫ならコイツ俺にくれ。緊急の時も地獄蝶がいればスムーズに行くだろ?」
「それもそうだな‥一護は護廷十三隊の誰もが認める死神代行だからな、ダメってことはないだろう。とりあえず俺の一存じゃ決められねぇから朽木隊長に掛け合ってみようゼ。」
「おぅっ!」

地獄蝶のお世話部屋から執務室に移動した二人は早速そこにいた六番隊隊長である白哉に一護への地獄蝶の譲渡を相談した。
執務室へ移動中も地獄蝶は一護の後を追うように着いてきていた。

「ダメか?白哉。」
「ダメと言う訳ではないが‥お前に地獄蝶を扱い切れるのか?」
「この地獄蝶、よっぽど一護のことを気に入ったのかさっきから一護の傍を離れようとしないンですよ。この調子なら平気なんじゃねーッスか?」
「ちゃんと世話もするからよ、頼むっ白哉!!」

地獄蝶も白哉に請うように白哉の目の前をヒラヒラと舞った。
そしてまた一護の肩へと羽根を休めに止まった。
それを見て白哉の眉が一瞬ピクリと動いた。
次いで小さい溜息。

「まぁ良いだろう。その代わり、週に一度は此方へ来るように。地獄蝶は現世の空気が其の身に合わないので長く其方に滞在していると弱ってしまうからな。」
「っ!ゎ、分かった!!サンキュー白哉!!」

本当に嬉しそうな笑みを見せて一護は地獄蝶と喜びを分かち合った。
その日はどこへ顔を出すにも必ず地獄蝶を連れていた。
現世で暮らすようになるからと他の仲間の地獄蝶と会わせてやろうと思ったらしい。
まるで親馬鹿のようだと会う人会う人皆言った。
帰りは勿論自分の地獄蝶で。


それから、一護はキッチリ一週間に一度、尸魂界へとやって来た。
来ると必ず地獄蝶のために綺麗な水が流れる河原へと散歩に行ったと言う。
地獄蝶を飼ってからは暫く他の死神たちは構ってくれなかったそうだ。


お終い。





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Last updated  2006.01.29 02:21:03
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