お掃除が呼ぶ幸せ(掃除の世界から見えたこと)

2021/12/30(木)09:58

フェルメールのフェイクとは凄い

フェルメールは、同じオランダのレンブラント、イタリアのカラヴァッジョ、フランドルのルーベンス、スペインのベラスケスなどと並び、バロック絵画を代表する画家の1人である。レンブラントと並ぶ17世紀オランダ黄金時代の代表画家であることも周知の通りである。生涯のほとんどを故郷デルフトで過ごした。最も初期の作品の一つ『マリアとマルタの家のキリスト』(1654年-55年頃)に見られるように、彼は初め物語画家として出発したが、1656年の年記のある『取り持ち女』の頃から風俗画かへと転向していった。現存する作品点数は、研究者によって異同はあるものの、32から37点と極めて少ないことでも知られる。 ハン・ファン・メーヘレンは、オランダが誇る17世紀の画家、フェルメールの作品を絵画好きな敵国ナチス・ドイツに売ったとして第二次世界大戦終了後、国家反逆罪の疑いで逮捕された。しかし、メーヘレンは「あれは自分の描いた贋作だ」と主張、法廷で実際にフェルメールのタッチを真似した「寺院で教えを受ける幼いキリスト」を描いて見せたたことで、裁判所もそれを認めざるを得なかった。ナチスをだました男」として、反逆者から一転して一躍英雄となった。詐欺罪だけの、たった1年の実刑判決で済んだが、収監中に心臓麻痺で死んだ。メーヘレンは主に17世紀オランダ絵画の贋作を制作し、特にフェルメールの贋作を好んで制作したという。当時はフェルメール研究が緒についたばかりで、ごく一握りの専門家を騙せば真作と認められたことから、贋作が作りやすい状況にあった。このため、まずメーヘレンはフェルメールの作風を模写するための研究を重ねた。そして、その題材はフェルメールが手がけていないとされていた宗教画を描くことに決めた。メーヘレンは当時の真贋判定方法で主に用いられていた、アルコールを浸した綿で絵画の表面を拭くという方法を回避するため、絵の表面にフェノール樹脂を塗り、炉で一定時間加熱するという手法を編み出した。絵を描く際に用いるキャンバスおよび額縁はフェルメールらと同じ17世紀の無名の絵画から絵具を削り落としたものを使用し、絵具、絵筆から溶剤に至るまで当時と同じものを自ら製作して使用した。彼はダダイズムやキュビズムなどの現代芸術を軽蔑しており、古典派の具象画こそ芸術であるとの自論を持っていた。ある時、ピカソを絶賛する人物の前で即興で「ピカソ風の絵」を描いたところ、相手がその絵を売って欲しいと言ったが、「たとえ贋作を描くとしても劣った奴の贋作は描かない」と言って絵を破り捨てたというエピソードが伝わっている。卓越した技術を持つに至った人を職人と呼ぶか芸術家と呼ぶかの境目はどこに置いたらいいのだろう?メーヘレンはナチス・ドイツの高官たちにフェルメール作とされていた『キリストと悔恨の女』などの絵画を売った罪で逮捕・起訴され、ナチス協力者およびオランダ文化財の略奪者として、当局は長期の懲役刑を求める裁判の法廷に立たされた。この厳しい選択に直面し、拘留中にメーヘレンはナチス・ドイツに売却した一連の絵画、そして『エマオの食事』は自ら製作した贋作であることを告白した。その証拠として法廷で「フェルメール風」の絵を描いてみせ、さらに一連の絵画に対し線撮影などの最新の鑑定が行われた結果、彼が売りさばいたフェルメールなどの絵とされてきた絵画が彼の手による贋作であることが証明された。結局、ナチス・ドイツへの絵画の販売については無罪となり、1947年11月12日にフェルメールらの署名を偽造した詐欺の罪で、当時の量刑として最も軽い禁錮1年の判決を受けたが、既に酒と麻薬で体を蝕まれていたメーヘレンはまもなく心臓発作に倒れ、翌月にアムステルダムで死去した。  ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~私が書いた小説 「夏風越の(なつかざこしの)」https://kakuyomu.jp/works/1177354054887709936/episodes/1177354054887713218「鵯越え」・・・・「夏風越の)」の続編ですhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054935239046/episodes/1177354054935239209「くぬぎ越え」・・・「夏風越の)」の続々編ですhttps://kakuyomu.jp/works/1177354054954452867/episodes/1177354054954453601「遺された難所 疎にして越え難きもの」・・・時々書き足していますhttps://kakuyomu.jp/works/16816452218414122553/episodes/16816452218414238883

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