As’s HOLE ~ぼくのプレミアライフ~

2008/01/31(木)01:22

カオスに陥ったバレンシア

Liga Espanola(50)

毎シーズン何かしらのお騒がせな問題を提供してきたバレンシアだが、今シーズンばかりは笑ってもいられない。 そもそもの発端はキケ・フローレス前監督の解任であった。 開幕前は優勝候補に挙げられながらファンの期待に応えるだけの内容・結果を残せず、早々とフロントはフローレスを解任し、後任には当時PSVの監督を務めていたクーマンを半ば強引に引き抜く形で招聘した。現役時代はバルセロナのDFとしてならし、ポルトガルやオランダの強豪クラブで監督としての手腕を磨いてきたクーマンに、バレンシアファンは強い期待を示した。就任直後のファンのクーマン支持率が85%以上だったことからもそれが窺える。 とはいえ、ここで早急な結果を求めるのはクーマンには酷である。 これはクーマンやバレンシアというクラブに限らず、前監督の戦術やシステムが少なからず浸透しているチームに新参者が加わったところで何を出来るわけでもない。前監督の指揮日数が長ければ長いほどそれは顕著に現われ、サイドのスピードとミックスさせたカウンター攻撃を完成の域に高めていたバレンシアなら尚更である。これらのことから、クーマン就任直後の結果が出ない日々も、ファンの間には少しの楽観論が残っていたように思う。 だが事態は急変する。 クーマンが突如、GKカニサレス、MFアルベルダ、アングロの3人に戦力外通告を出し、移籍勧告を行ったのだ。 これまでチームの中心としてクラブを支えてきた功労者に対する配慮という点では間違っているとは思うのだが、クーマンがバレンシアを先へ進ませるために排除した腐ったミカンが彼ら3人だったのだろう。 だがクーマンが3人を戦力外にした理由を明かさなかったことから周囲が騒ぎ出し、騒動は大きくなった。当の3人からすれば理由もなく不要宣言されたわけだから到底納得できない。報道陣を前に監督を批判するコメントがメディアを通じて繰り返し流された。それでもクーマンは理由を語らなかった。 本来ならチームの不和を解消すべく立ち上がらなければならないフロントは今回、クーマンの肩を持った。それもそうだろう。わざわざフリーではなく別クラブの当時監督だったクーマンをシーズン途中に引き抜いたのだから。おいそれと解任するわけにもいかないのである。 しかしファンは違った。未だ結果を残せず、我がクラブの人気中心選手をないがしろにするような扱い。就任時の期待が高かった分、余計に反クーマンの声は大きくなっていった。 現在、65%以上のファンがクーマンの即時辞任を求めているという。クーマン就任後のリーグ10戦でわずか勝点6しか挙げられず、チャンピオンズリーグ出場権を狙うはずがUEFA杯出場権さえも不確実な情勢になってしまったのだから、それも当然だろう。だがクーマンに辞任の意思はなく、自分の戦術・行動・主張に絶対の自信を持っている。 一方で戦力外の3人は、クラブに契約を解消するように求めている。試合に出れないのであれば他クラブへ移籍するしか出場のチャンスはないのだが、契約がある限り移籍における移籍金が発生するわけで、彼らレベルになると他クラブが簡単に出せるような額ではなく、自ずと選択肢も限られてくる。 バレンシアのフロントの見解はこうだ。 「(3人への戦力外通告は)クーマンの技術的な決定であり、  フロントに何の意図もない。  ただ単にクーマンの選ぶメンバーに入らなかったということだけで、  彼らは今もバレンシアのメンバーだ」 「クラブとしてはフローレスの続投を願っていたが、  ファンの解任要求によってフローレスはクラブを去った。  今はクーマンの続投を心から願っている」 クラブを去ることになるのは戦力外の3人なのか、クーマンなのか、それともフロント陣なのか。いずれにせよ早い段階での解決を望みたい。 ほな、また。

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