愛犬のパピヨンが幼いウサギに一目惚れして、びっくり仰天したことがある。小金井公園でのことだ。
フリ-マ-ケットを見終わり、愛犬に「帰るよ」と言って自転車に乗り、帰路を100mほど走った。犬の鈴の音が聞こえないので、振り向くと愛犬がいない。確かに途中までは自転車についてきていたのにとあわてた。
幾度となく他人に抱かれて盗まれそうになったことのあるパピヨンだ。またかと、度肝を抜かれた。人の沢山いるフリ-マ-ケットの場所に急いでもどった。
愛犬がいた。やれやれとほっとした。ダンボ-ル箱の中で腹這いになって、商品の幼いウサギ3匹をかわいがっていた。母性愛のやさしさを見た。ウサギは大型犬のド-ベルマンに常時接しているので、犬を恐がらない。
お客さんから、「犬も売り物ですか。」と聞かれたとのこと。
「帰るよ」と言っても、ウサギから離れようとしないので、ウサギを買って帰ることにした。
ウサギの習性は何も知らずに愛犬が喜ぶので家の中で放し飼いで飼うことにした。その後はウサギの習性にビックり仰天の毎日が幾日も幾日も続いた。
最初の頃は3カ所でトイレをしたので、それぞれの場所に犬用のバットと吸収マットをおいた。現在は一カ所でするようになった。尿は強烈な悪臭なので、吸収マットの頻繁な取り替えが必要だ。トイレのことは驚くにはあたらない。
ウサギは愛犬とは違い、思いもよらないワルをする。和室の土壁を何カ所も削ったり、ビデオが使用不能となって、おかしいと思っていたら、数日後、パソコンのコ-ドを噛み切って使用不能にした。
冬になってコタツを出したら、その中でフトン綿を大量に集めて喜んでいる。
しかし、公園管理の市役所の職員のように短絡的に何でも禁止すると世の中は住みずらくなる。
ウサギはワルをしているつもりではないし、人間はウサギよりも知恵があると思うので、そのワルを責めないことにした。ウサギが自由に遊べるように知恵比べをすることにした。
長くなるので具体策は割愛するが、その習性を理解して対応すれば問題はない。ウサギとの共生もまた楽しい。
頭をなでると喜ぶ。特に、指先で頭を軽く連続してたたくと気持ちよさそうだ。
コタツの上のパソコンに向かっていると、ガラス越しに差し込む冬日の陽光のあたるコタツ布団の裾の上に愛犬とウサギが仲良く並んで日向ぼっこをしている。
先代のパピヨンも今のパピヨンもワルはほとんどしたことがない。幼犬の頃、ティシュペ-パ-を食い散らかしたことぐらい。
犬は人間との共生の長い歴史の中で人間に愛されるように、その習性が改良変化してきた貴重な動物だと改めて思い至った次第。
追記
そのウサギのラピーが2010年4月30日午前2時に老衰で永眠した。享年6歳。
前日まで元気だったのに、急に大好きなシクラメンの花さえ食べなくなり、体を丸めるように静かに座り込んでいた。そのうち、食欲が出るだろうと思っていたが、何も食べないまま24時間後には息を引き取った。人間の力ではどうすることも出来ないことを思い知らされた。
愛玩動物とは生きている間は、飼い主にワルと喜びを与えてくれて、最後は大きな悲しみを残してくれる生き物だ。そのワルも昇華再結晶したような懐かしい思い出になっている。
ラピーは庭の灯篭の下で静かに寝ている。
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