
タマネギ、ネギ、ニラ、ニンニク、ラキョウなどには硫化アリル(allyl disulfide)が 含まれている。切った時に涙がでるのは、その刺激臭の芳香成分のためだ。
食欲増進作用があり、新陳代謝を促し、動脈硬化予防などの効果がある。血液をさらさらにしたりする作用などもある。
その類似化合物のアリシンはビタミンB1の吸収を高め、疲労回復や血行促進に効果がある。
ところが、そのネギ類には、類似化合物の硫化アリルプロピル(allyl propyl disulfide)も含まれている。このプロピル化合物が犬猫にとって毒になるという説が広く浸透している。
化学構造としては、硫化アリル(allyl disulfide)には2カ所に二重結合(double bond 記号は=)があるのに、硫化アリルプロピル(allyl propyl disulfide)には1箇所にしかないことだ。分子量(重さ)で言うと、146と148のほんのわずかな違いだ。
しかし、生理作用はまったく異なる。一方は薬であり、他方は毒だというのが犬タマネギ有毒説の根拠だ。
硫化アリルプロピルは人間にもよくない化合物だが、普通に食べている食事量では中毒症状を起こすことはない。人間の血液中の赤血球が無毒化してくれる。
ところが、犬猫の場合は、血液中の赤血球が硫化アリルプロピルを無毒化する力が弱い。
そのため、この硫化アリルプロピルが酸素運搬機能のあるヘモグロビンを酸化して、無力にする。呼吸機能が低下する。血液中に酸素が少なくなり、貧血状態になる。と犬タマネギ有毒説は力説している。
元気がなくなったり、食欲がなくなったり、時にはヘモグロビンが混入した赤い尿を排出することもあるとの記述がある。中毒死はほとんどないとのこと。
治療には輸血、あるいは点滴が効果があると獣医のホームページなどに記述がある。
硫化アリルプロピルは水に溶けやすく、しかも、加熱しても分解しないので、ネギ類入りのス-プや汁も犬猫には与えないことがよいとのこと。
しかし、多くの愛犬家がその愛犬にタマネギ料理の残り物を食べさせたが何の異常もないと発言している。犬タマネギ有毒説には何か裏がありそうだ。犬に残飯を食べさせないで、できるだけドッグフードを売り込みたいとのドッグフード製造販売関係者の意図的な風説が流布されているような臭いがする。
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