2016/08/16(火)16:28
犬にイカやスルメはほんとに害があるか?
イカ、タコ、エビ、カニ、カイ類は犬に食べさせてはならないと、広く言い伝えられている。犬にイカやスルメはほんとに害があるか?
イカ、タコ、エビ、カニ、カイ類は他の食べ物の生き物と何が違うのか。それがわかると、犬が食べてもいいかどうかがわかる。
イカ、タコ、エビ、カニ、カイ類は背骨のない無脊椎動物だ。イカ、タコ、カイ類は軟体動物で、エビとカニは節足動物だ。血液の色が赤ではなく、青なのだ。見た目には無色だ。
人や犬などの哺乳類等の血液が赤いのは酸素運搬機能のあるヘモグロビンというタンパク質が赤いからだ。鉄原子を中心に包含している錯体のhemeとタンパク質のglobinが結合したものだ。
貧血気味の時に鉄分を摂取いた方がよいというのは、ヘモグロビンには有効成分として鉄が不可欠なためだ。ヘモグロビンが不足すると、体内が酸素欠乏状態になりやすい。
一方、イカ等の無脊椎動物の血液中にはヘモグロビンの代わりに、ヘモシアニンがある。
鉄原子の代わりに、銅原子が錯体の中心にある。その錯体が青いのだ。お寺などの屋根の錆びた銅版の色と同じだ。微量なので,無色に見えるだけだ。
だから、イカ等の無脊椎動物を食べると、銅を食べたことになる。
人間もイカ等の無脊椎動物を食べると、銅が内臓、特に肝臓に蓄積するウィルソン病にかかる人がいる。3万5千人に1人の割合で発症する遺伝性銅代謝異常症だとのこと。
小児期に重い肝炎や肝硬変を起こしたり、震えや言葉が聞き取れなくなるなどの中枢神経障害を起こす病気のようだ。
普通の人は必要量の銅を体内に残し、余った分は体外に排出する。だから問題は起こらない。イカなどにはタウリンなどの有益な成分が多く含まれているので、適度に食べた方がよい。
犬の場合もすべての犬種の犬に銅蓄積症(人のウィルソン病に類似)が発生することはないようだ。発病の可能性のある犬種の犬でも、急に発病することはない。銅が体内に蓄積されるまでは発病しない。逆に、発病したら、治療に長時間を要することになる。難病なので、特殊な治療が必要とのこと。
発病する犬は遺伝的な体質を先天的に持っているとのこと。
ベドリントン・テリア、ドーベルマン、アメリカン・コッカー・スパニエル、イングリシュ・コッカー・スパニエルに関する発病の記事があるが、その犬種の愛犬がすべて発病するとは書いてない。発病する犬はきわめて少ないのではないかと思っている。
イカはタコよりも2本足が多い。スルメイカ、ヤリイカ、コウイカ等90種類以上のイカが日本近海でとれる。その内蔵には銅が多く含まれている。それを食べた犬が重病になったので、イカは犬に毒だと広まったのではないかと推測してい 。騒ぎすぎのような感じがする。
幸い、愛犬のパナはイカのさしみを食べない。生イカのはらわたを食べさせる気は毛頭ない。それで、罹病しない。やれやれだ。
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