AIR JORDAN 19
レビュー:AIR JORDAN XIX 日本未発売カラー最高レベルのHOOPシューズ誕生:2004年3月13日。マイケル・ジョーダンが履くことのないAIR JORDANが新たにリリースされた。今回ばかりは、本当のGOOD-BYEだけに、今後のAIR JORDANの行方を占うという意味でも、ナイキにとってはとても大きな意味合いを持つ一足になる。エンド-サーとしては、TEAM JORDANの中から、デンバーナゲッツのカルメロ・アンソニーが選ばれ、ほぼ正式にAJシリーズを継承する事になったようだ(キッドやペイトンと当分は持ち回りだろう)「マイケルが履かないエアジョーダンは人気がない」という教訓に反し、人気は上々である。『工場の問題』による初回出荷数の限定などのイベントに恵まれ、自然とこのシューズへ注目が集まったようだ。Finishline(米国のチェーン店)では、定価に10ドル追加(オリジナルの定価のまま)して販売するなど、多くの不思議も生まれ、話題性はグングン上がっている。今回のジョーダンマニアでは、新しい時代を迎えたAIR JORDAN XIXについての特集を行なう。発売までの経緯03年の9月に19の写真がNET上で公開されてからというもの、このシューズに関する環境は目まぐるしく変わっていった。まずはその経緯から押さえていこう。 03年9月:NET上で19のファーストカラーの写真が出回る。評価は最低。特にデザインに対し、多くのAJファンから大きな失望が。 03年12月:東京体育館で行なわれたバスケットボールの高校選抜大会で、サンプル展示(商品番号同じ。JORDAN TEAM PRO MID、3月発売、定価22,000円+消費税)作りは発売のものと同じ。 04年1月:ほとんどのジョーダンファンは19の存在をスッカリ忘れている。この頃に5月に発売される黒/赤モデルの写真が出回り、ファーストカラーの注目度がさらに落ちる。 04年2月13-15日:オールスターゲームでジェイソン・キッドが着用。ルーキーチャレンジでは、カルメロ・アンソニーが履く。ロサンジェルスのNIKETOWN限定で少量発売される。ネットオークションにかけられた物には、発売前という事もあり200ドル付近の値段がつく。(アジア圏から偽物も多く出回っている) 04年2月下旬:米国のナイキ正規ディーラーが少量だが発売を開始する。(軒並み150ドルと定価より15ドルほど安い) 04年3月上旬:日本未発売が決定。理由は工場の生産問題。 04年3月上旬:米国でも、限定との噂が流れる。 04年3月2週目:FootActionやAthlete Footのほとんどの店舗では発売しない事(少なくとも初回分について)が判明する。また、Finishline系でも限定店舗(都市圏限定)で少量発売が判明。Footlocker系では、発売日当日までリリース情報を公開しなかった(できなかった?) 04年3月12日午後未明:Footlocker系が先陣を切って発売開始。Finishlineはその後5-6時間後に発売を開始する。初回分には、サイズ12.5や8.5などが含まれず。 04年3月13日午前0時:Jumpman23でも発売を開始。 04年3月14-15日:初回入荷分についてはほとんどのサイズが売り切れる。第二回分は未定だが、2週間後に予定されているとの事。 04年3月16日:Eastbayで購入したユーザーが注文をキャンセルされる。 現在:現時点でも、追加出荷が有無やその期間については謎のままだ。どこのストアでも、来る時はくるし、来ない時はこないと、ナイキ任せになっている。当初は、ナイキのマーケティング戦略のようにも思われたが、実際に工場の生産状況に問題が生じていたのかもしれない。このようなイベントがAIR JORDANの正規バージョンで起きるのは何れにしても今までにない珍事である。スネーキーデザインBlack Mamba? 究極の肉食動物とナイキが呼ぶ、黒い蛇をモチーフにデザインされたらしい。しかし、実物(ファーストカラー)を見ても、そんな蛇らしい部分はフロントカバーを除き、見当たらない。初見の印象は、『儚いライトグレー』。あまり意味はないが、とても清潔感に溢れ、優等生、カルメロ・アンソニーが履いていることがとても自然に感じられる。作りはとても上質で、最近のナイキには見ることのなかった品質だ。靴のデザインは3つの部分(機能性を兼ねる)からなる。一番大きなウェイトを占めるのがプラパーツからなるフロントカバーだ。ナイキのキャッチでは、「Tech-Flex オーバーラップ:軽量、フレキシブル、通気性抜群。ダイナミックな動きを強力にサポート」とある。しかし、元々このようなものがなければ、通気性も良いだろうし、軽量だろうし、柔軟性もあるはずだ。デザインの為に、問題を作って、その問題を解決する為に工夫をしましたよ!と言っているようで少々不思議な感じがする。但し、デザインという意味では大きなプラスをシューズ全体にもたらしている。このカバーがある事で、シューズがスマートに纏め上げられている。16,17,18とシューレースを見せないデザインが続いたジョーダンだが、4番目となる19は今までのどのモデルよりもCOOLにその事を具現化していると言える。また、このカバーは、シューレース(異常に長い)をまとめる為のスペースとしての役目も担っている。この部分については少し蛇みたいな印象を受けると言えなくもない。オフィシャルデータには、このカバーによって強力なサポートを提供とあるが、実際にはデザインの2つめの部分になるベルトがその役目を果たしていると考えられる。AIR JORDAN19には良質の皮で作られてたベルクロ止めのサポートベルト(MJのサイン入り)がある。見るからに頑丈そうなベルトは、足首に回す形で装着し、アスリートの足を完全に靴にロックする。ロックによって得られるサポートは想像したよりも強力で、シューズが自分の足の一部になったような感覚を受けるはずだ。足の幅の小さい人がさらに強力なサポートを必要とする時には、2段構造になったD-ringと名づけられているベルトの返し部分の2段目を使えばいい。アキレス腱に不安を持つプレーヤーは、ベルトがアキレス腱の部分を直接締める事に心配かもしれないが、それは問題なさそうだ。インナーの柔らかさと厚みが上手い具合にベルトの締め付けを分散してくれるので、違和感は感じられない。最後は、つま先部分のパテントレザー。程よく光沢を放ち、印象としてはAIR JORDAN11をより強度で高級にしたものといえる。アッパーレザーに被さる形で縫い付けてある為、程よい厚みと強度があって◎x2である。最高のクッション構造AIR JORDAN19のクッション(4層構造)には、現在ナイキが保持する最高の技術が組み合わされている。基本的なクッションは、フルレングスZOOM AIR ユニット。反発性が売りのZOOMユニットは、靴底全体に行き渡り、フォアフットから生み出されるフォースを余す事なくフロア-へ伝える。一番ショック吸収が必要なヒール部分には、ダブルスタックZOOMユニットが組み込まれ、リバウンドの時に受けるショックを吸収してくれる。3層目はミドルソールに埋め込まれたPhylon。EVAをナイキ独自の製法で圧縮したクッション素材は、ナイキのほとんどのアスレチックシューズの基本クッションシステムだ。そして最後に、ソックライナー(中敷)。特殊な発砲素材2枚を圧縮し、さらにクッション性能を高めている。履いた感じを表現するならば、『最高級のスポーツユティリティ-車の皮製のシートに座った感じ』。安定した中に、走る事の楽しみを失わない。とでも言おうか。とにかく守られているという感じを強く受ける。最上にチューニングされたZOOM AIRユニットによって、ステップを踏むたびに感じるレスポンスは、高く飛べるようになった錯覚さえも与えてくれる。とにかく、18で既に最高だったクッションをさらに次の次元に引き上げたナイキのエンジニアに感服である。最高のグリップ(→安定感)強力なグリップもまた、感動させられた19の特徴の一つだ。前のモデルになるAIR JORDAN 18のグリップも好評だったが、今回のグリップはさらにその上をいく。18ではアウトソールの縁に薄く組み合わされていた粘り気のある透明ゴムの存在がその秘密だった。その成功をさらに大きく(物理的にも)飛躍させた事が、AIR JORDAN19が持つ最高のグリップに繋がっている。 読者は、上の二つの写真で“Look”という部分に気づいただろうか?フォアフットの外側と踵の内側に異常に突き出た部分があったと思う。その部分が今回の強力グリップの秘密になる。突き出た部分には、AJ18の3倍の厚みのある“埃の上でもグリップを発揮する粘り気のある”透明ゴムが使われている。左右の動きに対応する為に場所が決められており、グリップを最大限に引き出す為に極端に大きなパッドを利用しているのも特徴的だ。特に激しい動きになると効果を発揮する理由は、その部分がフロアとの最初の接地面になるからだ。最初の接地で最大のグリップを発揮し、対角線上にあるもう一つのパッドで確実に停止する。次の動作への踏ん張りにも大きな役割を果たしている。人間の動きを科学した結果が、この出っ張りへと結論づけられた。また、この出っ張りデザインによって得られる安定性も簡単に説明しよう。バスケットボールプレーヤーが陥る怪我の多くは、シューズの乏しい安定性が理由で起きる。安定しないシューズは左右への転倒が頻繁に起きるからだ。疲れがない時はいいのだが、疲労が溜まってきた時などには、体が反応しきれずに、シューズが転倒し、怪我を負ってしまう。このような怪我を防ぐ為にはアウトソールの左右の幅を広げる事が有効だ。そのような理由から、日本人のプレーヤーに根強い人気のある“AIR ZOOM FLIGHT 5"のフォアフットの幅は、意図的に広げられている。同じ事が、この19にも行なわれている(19ではリアにも施工されているのでベター)ロックオン・メカニズムすでに上で述べているが..... 文字制限により、続きはJORDANS.JPで