会津の不思議な墓石
【会津の不思議な墓石】 これは以前にここでご紹介したことがありますが、「不思議」と言うよりは「奇妙」と言う方がいいかもしれません。右側の男性の戒名は浄土宗のものですが、左側の法名は親鸞系の宗旨の法名です。そして、側面に彫られている文字列からすると、男性が亡くなられたのは昭和九年のことで、左側の女性が亡くなられたのは平成三年のことです。そしてこの墓地に残っている他の家の墓域にある墓石に彫られた戒名からすると、この村は浄土宗のお寺の檀家になっているようですが、墓石に文字が彫られていないものが多数残っています。このお二人はご夫婦です。男性は四十歳で亡くなられていますが、女性は九十五歳で亡くなられています。 会津の墓石に特徴の一つに、明治・大正期に建てられた墓石は非常に少ないということです。数えられるほどしか残っていません。明治初期に、宗門人別制度が廃止されたことが広まったからであろうと思われます。ですから、この墓石に見られるような奇妙なことがあっても不思議ではないと思われます。山間部の村にあるお寺は、そのほとんどが無住になっています。宗門人別制度が廃止されてから、無住になったお寺が多かったのであろうと思われます。 お寺が無住になれば、別のお寺に法名・戒名を付けて頂くしかありません。と同時に、この村には非常に興味深い伝承が『新編会津風土記』に記されていますが、この村の方はそれをよくご存じでした。村のあるお宅で、お茶をご馳走になった時に、色々なお話をお伺いすることが出来ました。また、山路の途中に不思議な場所があるとお伺いしたのですが、車で上がっていくことは出来ないとのことなので、諦めています。 東京では、最近になって墓地が上に広がっているようです。新聞に大きな建物の中に家々の墓石が建てられている写真が載っていました。そして、宗旨や宗派は関係なく、その墓石を建てられるとも書かれていました。また、斎場で葬儀が簡素に行われることもあるようです。