のんびりと食べては寝てるお正月
夜中になれど瞼の上下がいっこうに仲良くなろうとしない。
こういう時はワインでアルコールを解禁しよう。
家族の引き払った居間で一人 酔いが回り感情が高ぶって来るにつれ
日頃はすっかり忘れているはずの亡くなった人の事など想っている。
私の生後八ヶ月で 其の頃珍しい交通事故でなくなった父。
顔も知らない。ただ一枚残っている写真は私と似てる気がする。
第三子となる私を長男だと信じていた期待を裏切られ
がっかりしたものの 百人一首から名付けてくれたたという私の名前。
日頃は無口で気難しい父が それほど強くはないお酒を飲むと
朗らかになって帰って来るので母は毎日飲んで
来て欲しいと思ったと 幼い頃何度聞かされた事だろう。
体が小さく子供が産めないだろうから 子供のある人に嫁いた方が
良いと周りに勧められるまま 二人の子持ちの父と一緒になり
母を慕ってくれる二人の姉と幸せに暮らしていた母の
一生で最も幸せな時期はたった２年にも満たなかった。
生活の保証等なく 腹違いだった２人の姉と引き裂かれ
３人姉妹はそれぞれ他人となり 今は住む家さえ知らない。
４歳で実母を亡くした母に後妻の住む実家に頼れない
心細さはいかなるものだったか。
そして母は弱かった。流されて生きる人生だった。
強く生きられないまま 自ら命を絶った。
母は私の反面教師だった。
私は母を幸せに出来なかった罪悪感を
ずっと背負って生きている。
それは酔えばずしりと重くなる。
酔ってばら色の世界があるけれど
暗黒でもがく苦しみも味わう事になる。
それでも私は酒が飲めるから飲んでしまうのである。
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最終更新日
2008.01.03 17:32:48
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