歴史的瞬間
今日の日曜日首都のワシントンでは米国下院の本会議で歴史的な投票が行われました。午後1時から午後11時まで10時間にも及ぶ会議の結果、オバマ大統領の懸案であった医療保険改革法案が賛成219票反対212票で通りました。昨日までオバマ大統領は予定されていたグアムやインドネシア、オーストラリアへの海外訪問を中止して賛成者を求めて議員たちに呼び掛けていました。民主党と共和党が大きく二つに分かれての戦いでしたが、民主党の勝利に終わりました。法案が通った瞬間、議場には「Yes, we can. Yes, we can. Yes, we did」の大声の歓声が起きました。拍手とそして共和党員によるブーの声が交差しました。上院で通った法案をそのまま訂正なしに認めると共に一度法案化が正式になった上で細かな変更を行う議案も同時に認められました。これは上院で認められた法案の一部に反対する人々を今日の法案決議に賛成票をさせるための民主党側の戦術でした。現在その変更法案の中身に関してヒートアップした討議が行われています。討議の内容は妊娠中絶に対して医療保険を認めるか否かなどが主要な問題です。今後いくらかの変更が行われるにしろ、今日の医療保険改革法案はオバマ大統領に送られ、彼が署名すれば、それで正式な米国の法となります。これにより、先進国の中で国民皆保険のない国としての汚名がなくなります。現在貧困等のために医療保険が持てない国民が3千6百万人ほどいるそうですが、彼らも保険を持てるようになります。但しそのためにこれからの10年間で1兆ドルの政府出費が必要となると言われています。同時に全体的な医療業界の改善やコスト削減策により、10年間の内にはその出費を十分にカバーし、逆にかなりの金額の節約が出来るとの発表もなされています。この法案は長年歴代の大統領が挑戦し、何度も議会の反対に会い、葬り去れた法案でした。最近ではクリントン大統領が奥さんのヒラリーさんと一緒に議会に呼び掛けましたが、結局は拒否された歴史がありました。その点では勇気と覚悟を持ってこの歴史的法案を勝ち得たオバマ大統領は、公民権法案を通したジョンソン大統領と共に米国の性格を変えた政権としていつまでも記憶されるでしょう。またこの法案成立を心から願っていたエドワード・ケネディ議員も今日の法案通過を喜んでいるでしょう。もうしばらくしたらオバマ大統領が法案成立に関して喜びの発表をする予定です。今日午後からずっと下院議会での討議と投票をCNNを通じて見ていた私ですが、まだまだ眠れそうにはありません。オバマ大統領のコメントを聞いてから寝ようと思います。大統領就任直後から精力的に努力して来ただけに、オバマ大統領に取っては肩の重荷が降りた結果になりました。(終り)