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おとり捜査の適法性
まず、おとり捜査のうち、すでに犯意を有する者に 犯行の機会を与える機会提供型の場合であれば、 任意捜査(197条本文)として許容される。 一方で、犯意を有しないものに積極的に働きかけて 犯罪を行わせる犯意誘発型の場合、 国家自らが犯罪者をつくり出しているものと言える。 その意味で、これはもはや適正手続(憲法31条)に 反して許されないといえる。 もっとも、この両者をいかに区別すべきかが明らかではない。 そこで、その判断基準が問題となる。 この点、通常の誘惑の程度を超えたか否かという 官憲の働き掛けの度合いに応じて、その区別をすべき であるとする説がある。 しかし、かかる見解からすれば、たまたま誘惑の程度が 低かったとの理由で、 おとり捜査が広く蔓延しかねず妥当でない。 そこで、両者の区別は被疑者に犯罪性向があったか 否かで区別すべきと解する。 以上は、ある合格者の答案からぱくった論証です。 この論証の内容を、 機会提供型=任意捜査として適法、 犯意誘発型=任意捜査だけど相当性を満たさないので違法、 と私は理解していました。 まず、この理解に迷いが生じました。 この論証は、 機会提供型=任意捜査として適法、 犯意誘発型=強制捜査で明文無く違法 ということのようにも思えてきました。 「適正手続に反して」のところを 「人格的自律権(憲法13条)という個人の重要な人権を 侵害するため」に変えれば、 後者の理解になる気がします。 それで、さらに混乱したのが、この論証に対する添削者の評価の違いです。 以前、おとり捜査の問題が出たときにこの論証を書いたら 「良い論証です」というコメントが書かれていました。 今回、別の予備校の答練でこの論証を書いたら、 「おとり捜査は強制処分にあたるのか、 あたらないとしても任意捜査として許されるのか、 をきちんと論証してください。 混乱がみられます」 といったコメントとともに22点の答案が返って来ました。 私の頭の中が混乱していたのは事実なのですが、 田宮先生の本をしらべてみたところ、 この論証の内容らしきことが書いてあったこと、 以前別の添削者に評価されていること、から この論証を捨てて違う論証を覚えるべきなのか、迷っています。 受験生の方、合格者の方、どなたかコメントくださると嬉しいです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
こんばんは、どろっぴです。
おとり捜査の法的な位置づけが曖昧と言うことではないかと思います。田宮先生の本を、私の勝手な解釈で読み込むと(鵜呑みにしないで、自分で考えてくださいね。)、 おとり捜査においては、詐欺的な言動や誘惑的な言辞を用いて対象者を犯罪へと追い込むという要素があります。かかる捜査方法は、対象者の意思決定の自由を奪うものなので、強制処分にあたらないかが問題となるかと思います。 ここに、強制捜査とは・・・。 結局は、自分の意志でしている以上、強制捜査とは言えないだろう。 それでは、任意捜査として許容されるか。詐欺的な手段を用いるので、一定の場合には許されないのではないか、問題となる。 おとり捜査とは、いやしくも国家が詐欺的な手段を用いるもの、とすれば、1,犯罪の害悪の重大性2,おとり捜査に依らなければならない格別の必要性(犯罪の密行性とか被害者なき犯罪の覚せい剤とか)3,手段の相当性が最低限必要。 その上で、犯意誘発型か機会提供型で区別。 という流れで良いと思います。 (January 12, 2005 10:06:03 PM)
この論証自体については、おとり捜査が蔓延するかどうかを心配する前提として、現在おとり捜査がそれほど蔓延しているのか、現状認識の点で疑問があります。おとり捜査がなぜ必要なのか、その時点ですでにある程度の限定があるかと思いますので、こういった形の心配は、現状ではいらないかと思います。
あと、反対説を挙げて潰すより、積極的に自説の理由付けを述べてください。機会提供か犯意誘発かと言う区別において、なぜ、犯罪性向の有無でおとり捜査の適法性を判断するのか、その理由が全く出ていません。なぜ、「そこで」犯罪性向の有無で判断すべき、という流れになるのか、「そこで」とつながる理由が明らかではないです。 そもそも田宮先生の文章は、「犯罪性向のない人の場合」=犯意誘発、それ以外の場合=機会提供、という流れであって、論証の流れとは順序が逆な気がします。 (January 12, 2005 10:07:00 PM)
この論証で、反対説として批判されている説と自説とは本当に違う説なのか、も微妙かと思われます。
あと、なぜ、機会提供型だと適法で、犯意誘発型だと違法なのか、なぜ任意捜査として許容されたりされないのか、その理由も出ていないような気がします。まあ、答えは、強制捜査には当たらない以上任意捜査として原則としては適法なはずだが、限度はないか。適正手続に違反するので違法という流れだと思います。 ちょっときつめかもしれませんが、コメントさせて頂きました。ではではまた。お体にお気を付けて。 (January 12, 2005 10:13:13 PM)
>>どろっぴーさん
お忙しいところ、いつも丁寧なコメントありがとうございます。 ご指摘の点、納得です。 たしかに、前述の論証ですと、 おとり捜査が任意捜査であることを当然の前提としており、 強制処分にあたらないかという問題点が出てないと思いました。 あと、機会提供型だと適法で犯意誘発型だと違法な理由や、犯罪性向で区別する理由も明らかでない。 きちんと理解しないまま暗記に走っていたことが露呈しました。 これが本試験じゃなくてよかった・・・・。 もう少し妥協を許さない勉強姿勢が必要なようです。 ありがとうございました。 (January 12, 2005 11:11:41 PM) |
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