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2003年11月11日
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わたしが個人発行するメールマガジン『マリード』は、現在創刊5年目です。休み休みですが、よく続いているものだと、自分でもちょっと驚いています。

『マリード』とはアラビア語で、「病人」「患者」という意味です。何を隠そう、わたしはアラビア語の学習者でして、簡単な日常会話なら何とかこなせます(あまり大きな声でこんなことをいうとレッスンを受けている先生から、「寺園さんがアラビア語をしゃべれるとはわたしは知りませんでした」と冷やかされてしまうけど)。

「マリード」という言葉は、習いはじめて早い時期に覚えた言葉でした。アラビア語には美しい音の響きを持つ言葉がたくさんありますが、「マリード」もその一つだったのです(カタカナで書くと「マリード」としか表記できないけど、実際に発音するときはもっと微妙な音です)。

で、メールマガジンを創刊するにあたって、わたしなりにいくつかのタイトルを考えていたとき、「同和」は京都市政を歪めている“病根”であるという認識をもっていました。それで何とかそういう実態を反映する言葉がないものかと探していたんですね。そこで浮かんだのが「マリード」だったわけです。

意味はともかくとして、好きな響きの言葉ですし、アラビア語をタイトルにするメールマガジンっておそらく他にはないだろうし、何よりもメールマガジンのテーマに合致する言葉だと思い、われながら今も気に入っているのです。

まえおきが長くなりました。何が言いたいかというと、上記とは別の意味で、「マリード」というタイトルはわがメルマガにふさわしいな、と感じさせてくれた出来事が最近あったのです。

先月31日午後、立命館大学(京都市)で開かれた、同大学産業社会学部とネットからすま(部落解放同盟京都市協議会の方針で設立された人権啓発事業を行なうNPO)の共催によるシンポジウムに参加したときのことです。シンポのテーマは「都市再生とNPO」。ニューヨークで「コモングラウンド」というホームレス問題に取り組んでいるNPO代表ロザンヌ・ハガティーさんの講演をメインに、ネットからすま理事、京都市都市計画局住宅室長、都市プランナーらがパネラーとなっていました。

ハガティーさんの話は、わたしにとっても非常に有意義なものでした。ハガティーさんのコモングラウンドという団体は1990年代初めより、マンハッタンの中心部に廃虚として残されていたタイムズスクエアホテルを買い取ってそれをホームレスや低所得者用の住居として改装し、同時にそこで、ホームレスなど入居者に対する職業トレーニング、医学的社会的ケアをおこなう活動をしているそうです。今日ではタイムズスクエアホテル以外にも、4つのホテルを利用した施設を持っているということです。

ホテルを買い取る費用の大半は行政からの財政援助によるものですが、重要なことは、コモングラウンドに財政援助をしてホームレス問題に取り組む事業を委託することによって、逆に行政のホームレス問題対策費は大幅に削減されたということです。要するに、少ない予算で行政がなしえなかった効果をコモングラウンドはあげたということ。

ハガティーさんが、ホームレスを支援する視点について触れたくだりは印象的でした。彼女は、インドの経済学者アマルティア・セン氏の論文を引用しながら次のように言ったのです(以下は、もちろんハガティーさんの言葉通りではなく、わたしがこう理解したということです)。

「支援を必要としている人びとを、そのコミュニティーの中でどう位置づけるのか。Agent(ここでは自立して行動をおこす人といった意味合いでしょうか)として扱うのか、それともPatient(病人)としてか。Patientとして扱う限り、彼らは支援に依存し続けるだけである。彼らをわれわれのコミュニティーに価値を生み出すことができる(その可能性を持つ)Agentとして扱うべきである」

これは同和行政についても言えることではないでしょうか。京都市はある時期より今日まで、部落やそこの住民を自立し、コミュニティーの一員として何らかの価値を生み出すAgentとしてではなく、Patientとして扱い、事業だけを与え続けてきたと思うのです。

そして、住民が本当にPatientだったのなら、まだ考慮の余地はあるのですが、健康体の人、自立できる意欲・能力を有する人もいるにもかかわらず、そんなことおかまいなく全員をPatient扱いしてきた、こう指摘できると思うのです。

さらにその治療が適切なものだったらまだしも、喩えて言うなら、歯痛で苦しむ人に抗がん剤を投与しているような事業もありましたしね。

そういった意味で、「マリード(病人)」というタイトルが含意するところは、深いのではないかと感じさせられた次第。わたしは「マリード」とは、行政や運動のことだと思っていたのですが、行政自身も部落を「マリード」扱いしてきているのではないか、というわけです。

_________________________________
マリード[同和行政オブザーバー]
寺園敦史
terazonoat@yahoo.co.jp
http://www.geocities.co.jp/WallStreet-Stock/8499/





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最終更新日  2003年12月18日 18時12分17秒


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