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カテゴリ:本
中公新書ラクレの「世界のとんでも法律集」(森田則夫著)を読みました。フツーの日本人が考えて、「とんでもない」と思うような法律が世界中にたくさんあるので、それをいくつか取り上げている本です。
特に中東関連で取り上げられているものとして、現在でも有効な法律として、以下のものが挙がっていました。 ○ ポケットモンスターのカードを国内に持ち込むことは違法である。(サウジアラビア・2001年宗教令 ○ 大統領はイスラム教徒でなければならない。(パキスタン・憲法第41条) ○ 皆既日食の日は、休まなくては行けない。(シリア) サウジアラビアに駐在した日本人の子供たちは、さぞかし困ったと思いますが、ポケモンカードが禁止される理由として以下が挙げられています。 (1) 偶像崇拝にあたる (2) カード自体にギャンブル性がある (3) キャラクターが進化していくという設定は、進化論を否定するイスラムの立場からは受け入れられない間違った思想 (4) ダビデの星そっくりのシンボルマーク うち(1)、(2)、(4)についてはイスラムの教えから何となく理解できるような気がしますが、(3)に就いては日本人的には?な気がします。日本では高校の生物の授業でもダーウィンの進化論については結構詳しく教えられます。 ところが、ダーウィンの進化論はイスラム教の国だけではなく、アメリカでも進化論と天地創造説はどちらが正しいかということで未だに決着がついていないということがあります。現にこの本でも紹介されているアメリカの法律に、 ○ ダーウィンの進化論を学校で教えてはいけない。(アメリカ・アーカンソー州・授業時間均等法) 自由の国アメリカでは進化論だけを教えて、天地創造説を教えないのは不公平であるということでいくつかの州で法律に制定されたそうですが、やはりベースにあるのはキリスト教、すなわち聖書の解釈の問題になって来るようです。 法律を作成するのには“常識”が必要です。この常識が何に則っているのか、何に照らし合わせて常識かどうかを判断するかは国によって異なりますが、最終的にはその国の宗教になるのだと思います。大雑把に言えば、ヨーロッパやアメリカではキリスト教が主であるし、中東ではイスラム教になります。インドではヒンズー教、東南アジアの国々ではイスラム教や仏教のところが多く、韓国では儒教ということができると思います。 では日本ではどうなるかというと、仏教、儒教、キリスト教などいろいろな宗教が入ってきましたが、時代時代の為政者が弾圧したり、国教にしようと試みたりするものの、どの宗教も全国制覇を極めることができなかった歴史があります。また、明治維新の時、神仏を一緒に祀ったりして、益々分からなくなってしまいましたが、あえて言えば神道になるのかなあと思います。 正月に神社に行き、結婚式はキリスト教スタイル、死ぬ時はお寺で葬式と、いうことが特に疑問の余地もなく受け入れられていますが、これを全てOKとして包含できるのは、八百万の神である神道ということになるのかも知れません。 とは言うものの、海外に行った際、入国カードに宗教を書きこまなければいけない時、Shintoと書くのはいつもためらわれ、Buddhistと書いていますが(よく綴りを間違う単語です)。 という風に、いろいろと考えさせてもらえる本ですが、最も傑作だったのは以下の2つの法律でした。大阪人でなくともツッコミの声が聞こえそうです。 ○ 市民は死ぬことを禁じる。(ブラジル ビリチバ・ミリン市。市長が立法化を提案) ○ 自殺をしたら死刑。(イギリス法) (日本アラビア書道協会 http://alqalam.jp) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.10.30 09:24:03
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