|
カテゴリ:アラビア書道
ホテルの部屋には毎日自動のモーニングコールがかかってくるのですが、今日はアザーンで代用しますと添乗員の方が言われていましたので、期待して起きて待っていました。
5:44に小さな声でアザーンが聞こえました。意外に小さな声だなと思っていたところ、1分ぐらい経つと大きな声のアザーンに代わりました。それにつられてあちらこちらからアザーンがこだまのように流れ出しました。アザーンは結局6時頃まで続きました。前日泊まっていたタクシムのホテルでは全く聞こえなかったのに、やっと中東の雰囲気がでてきました。 ホテルのレストランは離れになっていて海を見ながら食べるようになっています。やはりチーズの種類が多く、塩辛いものから甘いものまでありました。 今日は既にツアー最終日ですが、まず、月曜日はお休みだった、地下宮殿とアヤソフィヤに行きます。泊まっているホテルから徒歩で直ぐです。 地下宮殿には地元の小学生らしき姿が多く、歓声が地下宮殿内に響いています。貯水池なのに非常に立派な建築物で驚くばかりです。見所はメドゥーサの顔でそこには青白いスポットライトが当たっています。 「メドゥーサは見たものを石に変える能力を持つ魔物で頭髪は無数の毒蛇で、イノシシの歯、青銅の手、黄金の翼をそなえた容姿をもっている。海の神であるポセイドーンの愛人であり、ポセイドーンとのあいだに天馬ペガソスとクリュサオルがいる。ペルセウスによって首を切り落とされ退治された。」とwikipediaにあります。なぜ逆さになって柱の土台になっているのかよく分かりませんが、また生き返って悪さをしないよう天の邪鬼の仁王様ように押さえつけているのかもしれません。 アヤソフィヤはキリスト教とイスラム教の合体したような教会というかモスクというかおかしな建物です。歴史の変遷により、もとはギリシア正教の大寺院だったものを後にモスクに改装したもので、マリア像などのモザイクも塗りつぶされていたそうですが、いまは一部を見ることができます。2階まで階段であがることができますが、大勢の人が訪れるため、階段はかなりすり減って波を打っています。二階からは4人のカリフの名前が書かれた大きな円板が間近に見えますが、意外に薄っぺらな板に書かれているのがわかります。現在改修工事中らしく大きな足場が建物の真ん中に組まれ、視界を邪魔しています。天井が異常に高いため足場もかなりごつく、ちょっとしたビルディング建設並です。聖母マリアの手形があるという柱があり、そこだけ人が行列を作っています。窪みに親指を入れ、残りの4本指の指先で、柱から離すことなくぐるりと円が描けたら願い事が叶うといわれています。 このあとは自由行動ですが、時間足らずだったグランドバザールに行こうという声が多かったため、再度向かいます。歩いても15分ぐらいなのですが、路面電車に乗ってみたいというリクエストが多かったため、一駅だけ乗りした。1.7リラと日本の地下鉄ぐらいの料金ですが、さすがに観光地の真ん中の駅なので混雑しています。グランドバザールの最寄り駅までは1分ほどで着いてしまいました。 このあとにスケジュールあるので、やはり1時間ほどしか余裕はなく、またまた古本屋街に行きたいというリクエストがあったため、数人を連れて、“地図の読める男”の私が数人を連れて古本屋街に行きます。前回は一部の店しか尋ねられなかったので、もう少し他の店も探検しようということになりました。綺麗なコーランが欲しいという人がいたのでコーラン専門店に入ります。全てコーランかその関連書物で埋め尽くされた店の中に英語訳付きのコーランが気になりました。多色刷りで単語ごとに色を変えて意味がよく分かるよう逐語訳になっているのです。20リラで購入しました。店の主人はコーランを手に取るとき、一冊一冊額に当て、軽く口づけをするような仕草で愛しむようにしてからページを開いて見せてくれます。 また別の本屋ではカリグラフィー用の装飾が書かれた紙が一枚1.5リラほどで売っていたので大量に購入。 そこでタイムアップとなり、大急ぎでホテルに戻ることにしました。 5人だったのでタクシーに乗ろうと思いましたが、30リラとふっかけてきたので即断り。別のタクシーを呼び止めると、余りにも近いためか乗車拒否。しかたなく歩いて戻ることに。昼食を食べていなかったので、通り沿いにあったレストランで2.5リラの牛肉入りのドネルケバブを買い、食べながら歩きましたが、昼時というのに、道行く人は誰も立ち食いをしていません。イスタンブールでは食べながら歩くのは禁止かなとふと思いましたが、別に誰も注意しないので、そういう習慣がないのかなと思った次第。 当初の予定では午後に本田先生の先生であるチャラビー師匠のウシュクダルの工房にお伺いし、実際に書道を見せてもらうことになっていたのですが、数日前に師匠の子供さんにご不幸があったため、急遽取りやめ、代わりに昨日IRCICAに来てもらい公開添削をしてもらった経緯があるので、午後は丸々フリーとなっていました。 そこで、もし時間が空いたら行こうと思っていたところに行くことにしました。書道工房が現在泊まっているホテルから歩いて10分ぐらいのところにあります。実はこの工房は、名古屋の会員の方でシリアで書道を勉強された方に事前に教えてもらっていたものです。 時間があれば訪問しようと、隠し球的にもっていたものです。 その工房は普通の2階建ての特に目立つもののない建物なのですが、書道を書く人、テズヒーブやミニアチュールを施す人、マーブリングをする人が一同に集まっているという、書道ツアーの見学コースにはうってつけの場所でした。 いきなりどどっとツアー一行がガラス張りの書道工房に突入したので、書道家は大いに驚いていた様子ですが、こちらが書道を趣味としている集団だとわかると、にこやかに対応してくれ、竹筆を削ってくれたり、文字を書くパフォーマンスをしたりと、大いにサービスしてくれました。作品の文字を見ると、かなり綺麗な線で描かれていましたが、驚いたことに竹筆でラテンカリグラフィーも書いていました。 その斜め向かいではテズヒーブとミニアチュールを描いています。書道家が書いた作品の周りに伝統的な装飾を施すものです。ミニアチュールは細い筆で一本一本細かい作業を繰り返しています。テズヒーブでは金色の絵の具に濃淡を付け彩色していました。添乗員さんに通訳してもらい色々質問すると、金の絵の具は特殊な溶液で溶かして描いていくということでした。 更に奧の工房では古い本を製本し直すという作業をしています。 また、入口付近には別の書道家の工房があり、こちらの方は部屋もかなり広く、少しリッチな感じがしました。作品はだいたいが受注生産で、いくつか展示してあるものは即売も可能とのことでしたので、試しに一番気に入った作品の値段を聞いてみると、3000リヤル(約30万円)とのことでなかなか良いお値段です。この方は、チェレビー先生の師匠にあたるハーミディという超有名な書道家のお弟子さんだったそうです。 あと残念なことにマーブリングの工房はお休みだったようです。 さてこのあとは、ブルーモスク近くのトルコ・イスラム美術博物館でミニアチュールのオープニングがあるということで向かいます。本田先生の個展にやって来た観客の一人がミニアチュールの専門家で、是非本田先生をご招待したいということで連絡があったものでそれに便乗して参加するものです(ただ、本田先生は歩きすぎて足を痛めて来られなかったのですが)。 当博物館に行ってみると黒塗りの車が何台も並び、警備がかなりものものしそうです。訪問客もかなりハイソ系です。果たして入口で警備があり止められましたが、添乗員の方が適当に説明するとすんなり入れてくれました。会場の入口付近は大混雑でしたが中はそれほどでもありませんでした。金を使ったミニアチュールの作品が展示されていました。 なぜこんなにものものしい警戒がされているのかというと、同行者の一人が得た情報によると、イスラムの踊る教団、イスラム教メヴィレヴィー教団の800周年記念であり、イスタンブール市長も顔を出すということだったようです。出口に踊るメヴィレヴィー教の人形が飾ってありました。 一旦近くのお茶を飲もうということになり、電車通りの近くの小ぎれいなカフェ「モザイク」というところに入りました。そして元気が回復したので、再度グランドバザールに挑戦です。今度はフツーにお買い物をしようということになりました。ただ余りにも広く、脇道に入ると帰り道が分からなくなる恐れがあるのでということで、私の方向感覚を信じて数人の方が一緒に付いて来られました。責任重大です。 アラビア書道の生徒の方々用のお菓子として、色々試食してみた結果、ロクムというナッツ入りの固いゼリーのようなお菓子を買うことにしました。通常タイプでは甘すぎるので蜂蜜入りの甘さ押さえ気味の“高級”な方にしました。 途中で焼き栗(5リラ)を買って食べながら、ホテル近くに6時頃到着しました。6時半集合なのでまだ時間があり、ホテルの真向かいにあるアラスタバザールで冷やかしです。ここにおいてある土産ものはグランドバザールに較べると少し高めですが、なかなか良いものがおいてありそうです。 ツアー最後のイベントは、もちろん、何と言っても、当然ベリーダンスショーです。バスで新市街のヒルトンホテルの近くのショー劇場に向かいます。 ステージは狭く、客は日本人団体を中心にぎっしり満員でした。7:30過ぎにショーは始まりましたが、始めは男性のコザックダンスなどで、観客はおざなりに拍手をしていましたが、曲調が変わり、ベリーダンスになると元気がでてきます。 結局、合計3人がソロで踊りました。それぞれかなりタイプの違う感じの女性で、普通ロシア系、少し田中真紀子似のSM女王系、最後は少し肌が黒いアフリカ系でした。技術的には2番目の女性が一番上手かったような気がします。踊りの流れも洗練された感じで組まれており、特にアクロバティックな動きもなく、いやらしさもありませんでしたが、コミカルな動きはいくつかありました。ただ本来のベリーダンスとは違うなという感じもしました。もともとはハーレムなどでスルタンの目を引くために踊ったもので、もっと媚びたようないやらしめの踊りのはずですが、かなり観光客を意識したスタイルに変えているようです。女性はいずれも引き締まった体つきで、腹回りにもほとんど贅肉はありません。これではアラブ系の観客は満足しないと思われます(多分)。合間にコザックダンスや民族ダンスなどもありましたが、全体的にシンプルな構成で、恒例の観客を呼び込んで一緒に踊らせるパフォーマンスも短めであっさりしていました。 合間には食事がしっかりとフルコースで出てきましたが、ショーを見ながらでは忙しく、何を食べたか覚えておらず、後で写真を確認しました。 9時頃になると現地ガイドさんが、これから引き揚げますということで出口にむかいました。実際のショーは11時頃まで続くようで、コメディアン風の男が一生懸命パントマイムをしている間にゾロゾロと我々を含む日本人ツアー客がゴソッと出て行ってしまいました。(続く) メブラーナ踊り人形、ドネルケバブ屋 ベリーダンス、テズヒーブ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.11.27 23:51:22
コメント(0) | コメントを書く
[アラビア書道] カテゴリの最新記事
|