アラビア書道とその周辺

カタール土産は無いかとオールドスークをいろいろ探しましたが、どれもどこかで見たことがあるものか、メイド・イン・インディアとかメイド・イン・チャイナばかりで特に珍しいものはありません。

そのなかで骨董品店がいくつかあり、見ていると昔風の書道用ペンケースがあったりしましたが、銅板製なのに結構高い値段が付いている上、余りきれいではないので

ほかに面白いものは無いかと探しているとお札がありました。カタールのお札ではなく、旧イラクの紙幣です。それも一枚や二枚ではなく、かなり大量に有りそうです。
面白そうなので一枚購入しました。

フセイン大統領の若い頃の肖像画が誇らしげに描かれています。1986年という年号が見えます。まだ、フセイン大統領がブイブイ言わせていた時代です。不思議なことに全くのピン札で使われた様子がありません。わざわざこんな偽札を作ることもないと思いますので、多分本物のお札だと思います。額面は２５ディーナールとなっています。
Wikipediaによると、”1989年末において闇レートは公式レートの6分の1に近い価格、1ドルが1.86ディナール”とありますので、このころ1ドルは１４３円ぐらいですので、１ディーナールは７７円ぐらい、ということでこの紙幣は1,922円ぐらいの価値だったことになります。
なかなか印刷もはっきりした綺麗なお札ですので、少し調べてみると、面白いことにこの紙幣はスイスで印刷されていたため、スイス・ディナール（イラク・スイス・ディナール）と呼ばれていたらしいです。その後、湾岸戦争に入り、お札は粗悪なものに変わっていったということです。

このイラク・スイス・ディーナールはクルディスタン地方でかなり後まで使われていたということです。2003年に新紙幣が発行され、現在は１ドルは1170ディーナールと暴落しており、換算するとこの紙幣は2円ぐらいの価値しかなくなっています。

多分ずっと持っていても大幅に値上がりする予定はなさそうです。

２５イラク・スイス・ディーナール（1986年印刷）