PlanarとYachica ML
Y/Cの50mm/1.4レンズと言えば何と言ってもZeiss設計のPlanar50mm/1.4が有名だが、陰でこっそりML50mm/1.4というヤシカ設計陣によるレンズも販売していたようだ。工場はどちらもヤシカで、レンズ構成も変形ダブルガウス型と一見差がないようにも見える(実は絞り羽枚数が違ったりする)のだが、いざ撮影してみると画質は別方向を向いていて非常に興味深い。167MT, Planar 50mm/1.4(AE), Kodak ELITE CHROME 100Planarはコントラスト重視で、シャープネスよりはボケの質感を重視している傾向が強い。カラーバランスは、やや暖色系。167MT, ML 50mm/1.4, Kodak ELITE CHROME 100一方のYashicaMLは解像度に優れ、シャープネスが高い。(ニッコールほどではないが)カラーバランスは、寒色系。どちらのレンズも一長一短ではあるが、その日の気分でレンズを変えても面白い。因みにYachicaMLはその特性から予想できる通り、金属などの無機質の描写に優れている。167MT, ML 50mm/1.4, Kodak ELITE CHROME 100ただし、ボケが固めでどうにも画面全体としてのまとまりに欠けるような気もするので、背景には気を遣う必要がある。開放から性能を発揮するレンズではあるが、ボケの性質から若干絞った方が良いケースが多い気がする。逆にPlanarは積極的に開けていくと面白い。ボケが綺麗なだけに、過剰に絞ってしまうのはどうにも勿体ない気分になってしまう。敢えて苦言を呈するならば、絞りの形状にもう少し気を遣って欲しかった。(円形とは言わないが、せめて鋸状は回避すべきだった)さすがに京セラ時代のMM世代レンズでは絞り形状も再設計されたらしく、多くのレンズで絞り形状が改善されたらしいのだが、、なんにせよ、選択肢があるという事は趣味人としては嬉しい限りである。