【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

フリーページ

2004年06月02日
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
どうしても、詩が、うかんでしまう、ときがある。
旅に出たときと、すきなひとと、わかれたとき。

20歳のとき、インドにいった。
あさ、ガンジスで、沐浴をしていると、
詩が、しぜんに、できた。はじめてのことだった。
船のうえで、同じ朝日をみていたSが、鼻歌をうたった。
朝食をおえて、ホテルのロビーにピアノがあった。
つかっていい、というので、Sは、さっき出来たばかりの曲を奏でた。
俺は、そのピアノに、さっき出来たばかりの詩をのせてみた。
その場で『裸足の少年』という「うた」になった。
帰国して、Sのスタジオで、カセットテープにした。
そのカセットテープは、地方のなんかのコンテストを通過し、
最優秀賞をとった。
賞金で飲んで、これ一曲でおしまい。いい思い出のつもりだった。

でも、これがいけなかった。
俺は、「創作のよろこび」を覚えてしまった。
そして、あらゆる経験を渇望するようになってしまった。

そのころ、20歳の俺に、とても素敵な彼女がいて。美人で、利発な、いつつ年下の、読書の好きな、字の上手な女性だった。
癒され、きらめくような毎日の中で、俺は思っていた。
俺に彼女がいなくなるなんて、かんがえられない。
彼女のささえなしに、おれは生きられないだろうなあ。

そのとき、はじめて、阿片が、俺にささやいた。
「ならば、」
「創作のよろこび」が、平穏な日々のなかにいる俺に、ささやきかける。
「その彼女を失ったとき、おまえは、どんな曲ができるんだろうね。」

20歳のおれは、「創作のよろこび」に抵抗できなくて、
はたして、二曲目がうまれた。『石の城』という、詩。
ふたたび、Sが、ピアノをたたき、
そのカセットテープは、まえよりもちょっとメジャーな、
ソニーかなんかのコンテストを通過し、
おれたちは、ルイードでうたうことになった。
佐野元春は大好きだったから、ルイードでうたえるのはとても嬉しかった。
客席に彼女の姿はなかった。
セミプロがあつまるコンテストで、
俺とSの『石の城』は、いちばん素人っぽかったのに、
最優秀賞をとった。
あたりまえだ、と思った。
セミプロたちは、架空の物語をうたっている。
でも、俺は、「ほんとうのこと」しかうたっていないからだ。
そう思った。

Sと、俺は、「ほんとうのうた」をつくりまくった。
Sのピアノは独学だつたが、Sは天才だったから、俺の詩は、その場であっという間に「うた」になっていった。

もはや、俺は、「創作のよろこび」ジャンキーになっていたのかもしれない。
ふたたび、阿片がささやいた。
「じゃあ、Sを傷つけて別れたら、おまえはどんな詩をつくるんだろうね。」

はたして、その詩は、つくられた。
もちろん、「うた」になることは、なかった。

どうしても、詩が、うかんでしまう、ときがある。
旅に出たときと、すきなひとと、わかれたとき。

創作のよろこびは、阿片である。
おれは、ほんとうのことしか、うたえない。

あれから十五年経って、
いま、36歳の俺は、いい大人になっていたはずなのに、
みたび、「創作のよろこび」に、ささやきかけられている。

創作のよろこびは、阿片である。
警告する。おれは、「創作のよろこび」ジャンキーである。
おれは、ほんとうのことしか、うたえない。


なんて、ちょっとおセンチになってみたりして。こんにちは、松本法光です(←またかよ!)。人生万事塞翁が馬。なにがよいかわるいかなんて、わからない。上記に書いたことはじじつですが、それはすべて、いまの私をつくってくれた体験てす。


 実は、15年ぶりに、Sからメールをいたたいたのです。
 Sは、その道のプロフェッショナルとして、さまざな才能を開花させています。天才Sとの、思い出ばなしでした♪





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2012年04月10日 18時00分00秒
コメント(0) | コメントを書く


PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

雨粒子

雨粒子

お気に入りブログ

弘法大師空海さまの… 瑠璃光山人さん
濫読、積読(らんど… スイッチ☆さん
鬱の力 園 爽太朗さん
めざめ読書の家 めざめ読書の家さん
天才塾 天才塾さん

コメント新着

 コースケ@ お、俺のおtmtmがぁ――!! もう、もう……なんも出まへぇーん!(TT…
 雨粒子@ 眠れる獅子~G3へ  この日誌は、雨粒子さんと法光が交代で…
 眠れる獅子~G3@ 有難うございました いつもたくさんの気付きを有難うございま…

© Rakuten Group, Inc.