2006/10/08(日)22:02
【参】アクの強い財務を辞めさせる話
日本から出張者が来て行う会議は「恐怖会議」と社内では呼ばれていた。
朝から晩まで缶詰になって中国現地企業の状況の報告会、及び反省会。
もしくは仕入先との過酷なネゴ。
当然楽しい会議ではなく。
竹山さんは、たっぷり絞られ、
私は朝から晩まで通訳。
竹山さんと私が、この期間、日常業務が全くできず
疲労しきった顔で、ため息をつくのをスタッフは何度も見ている。
故に「恐怖会議」と呼ばれていたらしい。
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「周君、周君。ちょっと来て」
と私は手招きした。
周は驚いた顔で、自分を指差し。『僕?』と声は出さずに私に確認する。
作り笑いで、うなづく私。
眉をひそめて周は、こちらへやってきた。
「何ですか?」と小声。
「ちょっと…確認だから」を言葉を濁した。
明らかに緊張している周。
「恐怖会議」に呼ばれるのだもの、
ロクな用事ではないと悟っているのだろう…
*ここまでの話はアクの強い財務を辞めさせる話【弐】をご参照下さい。
会議室に入って、
周は着席。
私は、その真向かいに座った。(通訳の為)
「最近・・・
何か面白くない事でもあるのか」と経理部長。
日本語でも威圧感は十分。
会議室の空気も張り詰めている。
周は、ふてくされたように返事しない。
経理部長は黙って回答を待っている。
『周君、返事して!』と私(小声)。
「別に」 やっと答えた周。
部長 「じゃあ・・・
何故、竹山の言う事を聞かないんだ」
周 「・・・・・・」
部長 「あ?」
私 『周君、別にあなたを責める為に呼んだんじゃないから。
事情を聞きたいだけだから。正直に、答えればいいからね』(小声)
周は 「竹山さんの言う事なす事が理解できない」と言った。
彼の言う意味はよく分かる。
元々、日本の経理もよく分からない竹山さんは、当然、中国の会計も分かっていない。
度々『そりゃ、ないでしょ?』と驚くような指示を出す。
また指示を仰いだ場合は、いつまでも返事をしない。
次の言葉を待っている私達に、
しかし周は「僕が何を言っても、あんた達で話は決まってるんだ」と言った。
経理部長が眉をひそめた。
私には周の心理状態が分かった。
被害妄想が始まっている。
部長がくれた起死回生のチャンスを、この小心者は理解していない…
周が次に、どんな発言をするのか。
通訳の立場だが目的のある私と、会議の出席者は、周の次の発言を待った。。
5分ほど経ったろうか。
突然
「僕は、この会社の秘密を握っているんですよ」
ひきつった笑いを浮かべて、周は言った。
「この手にね」と握りこぶしを上下しながら。
私は目をつぶった。
アホだ…
やっぱり、こいつはホンマもんのアホだ…
日本人が私の顔を一斉に見る。
通訳せねばならない。
私は、周が言った通りに通訳した。。
つづく。
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間が空きましたが、周の話を再開しました。
ややこしい事をしてスミマセン。