2006/12/09(土)15:17
【九】吃喜糖…家出の理由
≪白タク運転手夫妻の場合 4.≫
金小姐に「他の車呼ぶから、いいよ。早く帰って王偉探して」
と言うと、首を振った。
「没関係(大丈夫)」
…何が大丈夫なんだか~…!!!
仕方ないので日本人上司に断って、私と台湾人上司が先に帰る事にした。
泣き続ける金小姐の後ろに乗った我々二人。。
いつもなら冗談言いながら賑やかに帰るのに。
車を下りる時に
「今から探しに行くんでしょ?」と聞いたら、
「還有工作(まだ仕事がある)」
ちょっと~こんな時くらい仕事は後にしーよ。
…納得いかないけれども、言っても聞くような人じゃない。
「あ、そう」と車を下りた。
アパートの敷地内を歩きながら、何だか、すごく腹が立ってた。
というのも…
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今までに何度か金小姐と王偉の事は話していた。
金小姐が、あんまり王偉の事を愚痴るので
「寂しいのかもしれないよ?あんた達夫婦は昼間家にいないじゃない?
夜も遅いし。一人で家にいるのが嫌なのかもよ」
「小言ばかり言わずにさ、『会話』ってのがいいんじゃない?」
「もうちょっと褒めてやったら?王偉も自信がつくかも?」
色々意見は言ったのだけれど、金小姐はいつも
「不会的(そんな事はない)」
「他不説話(彼は話をしない)」
「一様的(一緒よ)」
全部否定して、最後には
「あんたには分からないよ。子供いないから」と言う。
カチ~ン!
「じゃあ、愚痴らないでよ!」
そこからお互い口を利かない、事が何度もあった。
あんたが言うから、こっちも良かれと思って言ってんのよ。
子供はいないけど、子供の気持ちは分かるつもりよ。
私も、王偉と同じような高度経済成長期に生まれ育ってるんだから!
今回の王偉が家に帰ってこない、と聞いて。
「やっぱりな」、という気持ちはあった。
普段、話を聞いていると、
学校へ車で送り迎えしていたり。
200元する服が欲しいというから買ってやった、とか。
しかもワザワザ上海まで出て買ったりとか。
物質的な所は結構甘やかしてるのに。
反面メンタルな部分では、
「王偉に言ってやってくれ」と外国人の私に頼むような所や。
そして、こんな時にまで「仕事、仕事(私には『金儲け』に聞こえる)」と言う
彼女がとても無責任に思えた。
こんな時くらい、子供を優先させてやってよ…!!!
…とは言え腹立つにしても『一緒に探してやった方がいいのかな?』
と思ったので台湾人上司に相談してみた。
「どう思う?」
「別に頼まれたワケじゃなし。それに探すったって俺らヨソ者に何ができる?」
「………」
冷たいな、と思ったけど。
言う事もモットモかな、と思って、その日の晩は、そのまま家にいました。
何だか落ち着かなくて、やっぱり「一緒に探そうか?」って
言えば良かったかな~とも思いましたが。。
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数日後。
金小姐の車に乗ったので
「王偉、どうなったの?」と聞いた。
「あの日の夜、王さん(旦那)と二人で探しに行ったよ」
「あ、そうなんだ…」
「近所の人も探すの手伝ってくれて。有り難かった。結局、友達の家にいたよ」
「あ、良かった。…叩いた?」
「いや、旦那が見つけたんだけど、何も言わずに連れて帰ってきたって言ってた」
「そう…」
見つかって良かった、大事にならなくて良かった…
「あとね、怒られたよ」と金小姐。
「誰に?(驚)」
「王さんの兄さんに。『二人で金儲け優先してるから息子がこんなになるんだ!
親なら、ちゃんと見ておかないと』って」
「そうなんだ…」
「だから、暫く、仕事減らして、どっちかが家にいるようにしようと思って」
「そうなんだ(^ー^)私は王偉も、嬉しいと思うよ」
「そうかな…」
「絶対そうだよ^^」
『何故家出したか』という理由は夫婦は聞かず、息子も言わなかったそうですが
やはり一人ぼっちにさせすぎたのが原因だろうという事で。
この後、暫く夫婦は本当に仕事をセーブして、どちらかが家にいるようにしてました。
他の運転手に仕事を回したりして(マージンは取る)
夫婦がどうしても外せない時は金小姐の実家からお母さんに街まで出てきてもらって。
また王偉の学校の成績が随分悪かった為、その年の高校進学は諦め
もう一度、中3をやり直すことに。
寮がある私立の中学校に編入させました。
編入は難しいらしく、コネを探し、3万元(約45万円)を使った、
と言っていました。
大陸人にとって3万元は、とても大きい。
夫婦が運転手として走り回って稼ぎ、
買い物の時は必ず値切って、
いつも同じ服を着て、節約して貯めたお金。
この気持ちが王偉に伝わるといいな、と思いました。
つづく。
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子供を学校に車で送り迎えするのは、車を持っている親は普通にやっていました。
「自転車で通わせれば、いいじゃない?運動にもなるし」と言うと
「危ないから」と却下。
『どこのボンボンやねん!!(`ロ´;;』と心の中で突っ込みを入れてました。
まあ気持ちは分からんでもないですが…
私も中国では自転車には乗らないので(怖いので)
また私立の学校に編入した王偉は、寮に入り二週間に一度、自宅に戻る生活に。
夫婦も「やれやれ」と仕事量を元に戻しました。
最初は「なんか寂しいねえ」と言っていた金小姐。二週間に一度帰ってくる時は「王偉の好きなオカズばっかり作ってやってる」と
とても楽しみにしていました。
ところが、その内、「寮の食事がまずい、風呂に毎日入れない」と王偉が言うから、と。
三ヶ月後には自宅から通う事に…^▽^;;(勿論、毎日送り迎えつき)
『甘いなぁ~』と思ったけど、
「王偉も家の有り難味は分かったって言ってる」と喜んでいたので
まあ、良かったのでしょうか…??
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この話は【八】吃喜糖・・・息子、王偉の続きです。宜しければ、どうぞ^^