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「ソラニン 1」浅野いにお(小学館)
落ち込んでいても仕方ないし、こういうときはいつもしていたことをするに限るので、マンガの紹介します。最近名作にばしばしと遭遇し、紹介したい本がたくさんありまくり。たまってしまいましたぞい。 で、その中でも一押しが 「ソラニン」。 ヤングサンデー連載中から熱心に読んでいたので、コミックスになったのに未読の部分がほとんどないという(笑)でも絶対買いたかった1冊。 連載中もこのページはいつも光って見えた。そのくらい好きです。 20代前半の同棲中の男女が主人公。彼らと、そのまわりのバンド仲間の苦い青春が丁寧につづられています。 出てくる人出てくる人、ほとんど全員「いるよね~」と思う。かといってとくにはげしくシンパシーを抱ける人はひとりもいないのだけど、なのに不思議とひきこまれる。 彼らの疲労が、わかるからかなあ。 ものがあって、お金がそこそこあって、仕事もあって、だけど空気がどこにもない感じ。夢があるのに、それだけは絶対つかめない、つかんだと思ったらとんでもなく汚いものに変質していくあの絶望。 体と心がどんどん疲れていく毎日。 それにしても私達70年代生まれより、このマンガの主人公たちや実際80年代生まれの子の方が大人に見えます。このごろ。この子たちの方が、つらい水で生きていた気がする。 それを描ける浅野さんもなんとなくだが、同世代というより私の妹の世代という気がしてなりませんね。若くて、すばらしい才能だと思う。 コピーをつけるとしたら「よしもとよしともX二乗+岡崎京子X+みうらじゅんを微分してみた」かな。なんだか余計わからないが(笑)。よーするに、せつなくて繊細で革命的、ただただ面白くて絵がうまい。 まだ1巻目だから、どんな展開になるのかわからないけど、でもただ「絶望を上手に救い上げる」だけの作家でない予感がするのです。 彼のほかの作品、急いで読まないと。 それにしてもタイトルが不思議。 はじめは森雅之のマンガ「空人」(メゾフォルテという作品集に収録されているかわいらしい作品)からきたのかなあ・・と思っていたのですが、しかしこちらは「そらんど」と読ませているのですね。 ※岡崎京子さんはいまどうなさっているのかしら。いいマンガを読むたび、彼女の影響力の大きさ、お仕事のすばらしさを思います。たまに自分は岡崎京子のマンガの中にいるのではないか・・思うほど、彼女が描いた近未来東京はいまの東京そのものだと思う。この日本に岡崎さんがいらっしゃることがとてもうれしい。そしてご回復をずっとずっとお祈りしています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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